2010年上海万国博覧会に出展するサウジアラビアは、もともと「石油王国」と言われているが、造ったのは石油館ではなく、空中に浮かぶ一艘の巨船――月の船、別称「シルクロード宝船」である。この船に乗って振り返れば千年以上前の中国とアラブ世界間の「海上シルクロード」の繁栄した情景を見ることができる。前を見ると中国とサウジアラビア両国の交流合作を象徴し、二大文明を融合して共生するナツメヤシの木が、生気に満ち溢れて枝を張り葉を茂らせている。
中国から来た百五十本のナツメヤシ
地面と屋上に外観が椰子の木に似たナツメヤシが植わっていて、樹影が揺れ動き、砂漠の風情が濃い空中花園をかもし出している。これがサウジアラビア館の一大特色になっている。サウジアラビアの上海万博委員会の常務理事であるモハメッド・ガムディー(Mohammed Alisssan Al-Ghamdi)さんは記者にナツメヤシを持ってきたわけは、一つは千百年来ナツメヤシがサウジアラビア人を養ってくれたこと。サウジアラビアでは、ナツメヤシのあるところにしか村落や町がない。サウジアラビア人のナツメヤシに対する感情はとっても深く、それはサウジアラビアの国章にまでなっている。二つ目は、ナツメヤシは多産で長寿であるため、サウジアラビアと中国との関係の悠久な交流の歴史と緊密な合作友誼を象徴している。
サウジアラビアは、全部で百五十本のナツメヤシを必要としていた。もちろん船でサウジアラビアから運んでもよかったが、ナツメヤシは環境に非常に敏感で、移植して成功するのは難しい。「この問題がいつもわれわれの頭痛の種で、何度もやめようと思った。最後の最後、中国科学研究機構の力添えで、中国の南方で一種のナツメヤシを見つけることができるとは、思いもよらなかった。」モハメッド・ガムディーさんは言った。乾燥に強く、塩害にも強く、熱にも耐え、しかも湿気も喜ぶ、このような性質がナツメヤシをアジア・アフリカ大陸の砂漠と海の島に広く分布させ、しかもサウジアラビアと中国の友誼の使者にしたのである。現在、百五十本のナツメヤシはすでに上海郊外に移植され、間もなく上海万博会場園内に独特の風景をもたらすことでしょう。
サウジアラビアと中国が協力して造る「シルクロード宝船」
ナツメヤシの木陰のサウジアラビア館は、正に緑の宝石のように見え、鉄骨で空に吊り下げられた円弧形の展示館は、またこれは「宝船」が波をけ立てて進むようにも見える。当初、サウジアラビアは上海万博の国家館デザインを世界から募集し、最終的におりしも中国の会社から来たデザイン案が入選した。専門的な目で見ても、この展示館の採光と風通しは上海地域の特長を充分に考えている。主要な場所の坂道は足の障害者や目の不自由な人の便利をはかって設計され、一種の人中心の環境適応型の建築と称してもいいだろう。
「私たちはこの宝船に非常に満足しています。千年以上前にすでに海上シルクロードが大いに繁栄して通じ、アラブと中国の二大文明を結びつけ、後のアラブと中国の発展に大きな影響を与えたからです。この歴史の基礎の上に立って、サウジアラビアと中国はさらに明るい未来を切り開くことができるのです。」モハメッド・ガムディーさんは言った。
二〇〇八年、中国とサウジアラビア間の往復貿易額は四百十八億ドルを突破し、サウジアラビアはすでに八年連続して中国の西アジア地区の最大の貿易相手国になっている。モハメッド・ガムディーさんは、「ほかの国と同じように、上海万博に出展するのは中国と各種の新型の合作関係を結ぶ一つの戦略的措置なのです。サウジアラビアと中国が一緒にシルクロード宝船を造ることが、両国の新たな関係の第一歩となるでしょう。」と言った。
「幸福の砂漠」にある都市
アラビア語で「サウジアラビア」は、「幸福の砂漠」と言う意味である。歴史的に見て、荒地で水や草を求めて転々と移り住むベトウィン人であろうと、この地の下から滾滾と吹き出る「石油」であっても、この「幸福の砂漠」と言うのは最もよい言葉である。しかもこれらは、上海万博の「より良い都市、より良い生活」のテーマにぴったりで、サウジアラビア館の展示内容にもなっている。
サウジアラビア館は「アラブの城」と名付けられた。テーマは「生命の活力」、河川も湖もない厳しい自然環境の下、どうすれば美しい都市を建設し、より良い生活を営むかに重点を置いて展示する。四つの類型の都市でサウジアラビア館の特色を表わす。一つ目は、エネルギーの城。二つ目は、オアシスの城。三つ目は、文化の古城。四つ目は、新経済の城。ここから水、石油と知識、サウジアラビアの都市が発展する安心立命の本であることが分かる。魅力的なのはサウジアラビア館に備え付けられた超大型三Dスクリーンで、水で漢字とアラビア文字を書くなど現代のハイテクと豊富で多彩な文芸活動である。
「サウジアラビアは都市の発展の過程で、とくに団結統一を強調します。団結しなければ、多元的な文化の共存ができず、調和のとれた発展が得られず、ひいては国家と人々の未来がないからです。」モハメッド・ガムディーさんは言った。
基本情報館のテーマ:「生命の活力」
造型のスポットライト:シルクロード宝船
国家館日:9月23日
館の面積:6100平方メートル
展示館位置:A地区展示館類型:独自建築
人民中国インターネット版 2010年5月4日
|