文=中国2010年上海万博日本国家館館長 江原規由
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作者 | 毎日多くの人が、万博会場を訪れ、日本館に入館いただいています。会期184日間に7000万人の入場を予定している上海世界博覧会は、平均して一日当たり40万人が会場を訪問することになります。
日本館は、シアター方式で入場者を迎えることになっており、一回600人、一日36回の入館がありますから、合計で一日最大2万1600人、会期中では約400万人の方に日本館をご覧いただくことになります。会場入場者のほぼ17人に一人を日本館は迎える計算です。
日本館で、日本の自然と生活、未来都市、環境保護・省エネ関連の最先端技術、日中が協力して保護した朱鷺(トキ)を主題としたミュージカルなどを楽しんでいただいていますが、こうした中に登場しているたくさんの過去、現代、そして未来の人々にも注目してもらいたいと思います。そうした人たちを何人か紹介しましょう。
時空を超えた人との出会い
入館すると、そこは1400年から1300年前の唐代の人々との出会いがあります。遣唐使として入唐した阿倍仲麻呂(中国名は晁衡または朝衡)は、玄宗皇帝の頃の唐王朝に仕え、李白や王維といった中国を代表する詩人と交流するなど、日本と中国の交流に大きな足跡を残しています。帰国船が遭難し帰国が果たせず、引き続き唐で官途に就き、安南節度使(ベトナム軍政官~司令長官)を授けられています。
また、同じ時代の鑑真和上は実に十年の歳月を経て渡日を果たし、唐の文化、技術、制度を紹介し、その後、日本が国の形を整える上で多大な貢献をしています。
出会いを待つ人
田舎で蝉取りに行く子供さんが、「早く早く」と手招きしながら駆け抜けて行きます。光と影で造形された若者がローラースケートに乗ってこちらに迫ってきます。
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「つながりの驚き・遣唐使を中心に」を見学している人々 |
アテンダントのコスチュームにも注目してください。日中で協力保護した朱鷺をイメージしています。笑顔さえつくってくれれば、あなた自身にも会えます。その仕掛けは見ての楽しみにしておきましょう。2020年の都市に住む人々にも会えます。
日本館には、まだまだ出会いを待っている人たちがあちこちにいます。ぜひ、探してみてください。
天の原 ふりさけみれば
春日なる 三笠の山に いでし月かも
最後に、帰国を夢見て果たせなかった阿倍仲麻呂が詠んだ一首で百人一首に選ばれている歌を紹介しておきましょう。
人民中国インターネット版 2010年5月20日
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