発展の象徴となった万博 大阪と上海  
 

文=陳言

陳言

コラムニスト、『中国新聞週刊』主筆。

1960年に生まれ、1982年に南京大学卒。中日経済関係についての記事、著書が多数。

大阪万博が日本で開催する際に、中国はまだ「文化大革命」の最中にあり、ほとんどの人はそれを知るすべもなかった。40年経った現在、今日上海で万博を開催するようになると、その時の日本はどんな形で万博を開き、開催後の大阪はまたどんな変化があったのか、多くの中国人の興味を惹いている。

あの太陽の塔は、まだ万博公園の中にあっただろうか。上海万博には「水の都----大阪のチャレンジ」というテーマの大阪館はあるが、そのにはあまり大阪万博の面影はないそうだ。

日本人はすでに上海の暮らしの中に入っている。上海には登録されている日本人の数は5万人あまりで、常住しているのは10万人も超えており、外国では最大の日本人の居住地となっている。万博期間中に100万人も日本からくると見込まれ、外国から来る予定の350万人のうち、三分の一ぐらいは日本人である。

上海万博については日本は注目しており、また多くの日本人が住み、日本の暮らしなどを上海に持ってきているので、日本については、上海でも注目を集めている。万博を契機にして中国のマスコミは日本に焦点を当てて、精力的に報道している。

経済発展を実感させる万博

「1970年に開かれた大阪万国世界博覧会では、日本は国をあげて五十年代と六十年代の高度成長を実現したこと、第二次世界大戦の廃墟から新しく台頭して、新興の世界経済大国になったことを展示した」と、4月21日に中国新華通信社が全国に流す記事の中で書かれた。

大阪万博について大量の情報を流すようになったのは、上海で万博を開催することを決定されてからであろう。上海から高速鉄道で近隣の都市と繋ぎ、また飛行機、船で国内外との交流が盛んになっている。上海はもう一度数百万人のほかの都市や農村から来る人を受け入れ、また数十万の外国、大陸以外の地域から来る人がここに住み、ビジネスをするようになってから、上海は国内やアジアのほかの都市より、むしろまず学ぶべき都市としては大阪だった。かつて万博は大阪で行われたことはさらにその関心を高めていた。

大阪ではすでに40年前から万博を開いた。6500万人も殺到した会場では、来場者は一つ一つのパビリオンをゆっくりと楽しむ暇はなかったかもしれないが、戦争より平和を、国民生活を一つの方向に無理やりに向かわせるよりも自由で経済発展を中心とした国策を取ることによって勝ち得た成果を具体的な形でそこで実感されたに違いない。二十年余年の努力は、日本は世界第二位の経済規模(GDP)を手にいれた。大阪万博の会場は熱気に溢れ、それはある意味では自信に溢れているとも見えたと思われる。

今から見れば、1970年代、80年代は、日本の経済発展の絶好期だった。大阪万博の前の二十数年は、経済復興の時期であり、経済大国の地位を獲得したが、それを不動のものにするためには、あと二十年、または更なる長い年月の努力は必要であった。自信に溢れた日本は、それを2009年まで堅く守り続けていた。

日本の経済発展を象徴的に語った大阪万博は、特に今日の上海ではクローズアップされ、上海、ひいては中国はこれからどこへ向かっていくべきか、万博を通して大阪などの経験を取り入れながら、中国で実践したいとも思われている。

ひとつの解としては「より良い都市、より良い暮らし」という大会のテーマで表現している。日本ではどんな都市を造り、また産業の発展では暮らしにどんな利便性をもたらしたか、万博を通して、多くの来場者は日本館、日本産業館、大阪館に焦点を当てて見ようとしている。中国のマスコミもそれに合わせて多く報道している。

日本人の行動に注目しているマスコミ

40年前の大阪万博の情報を読み、その後の変化に関心を持っている人は、おそらく現在の日本人の行動にも注目しているだろう。万博で見た日本館、出会った日本人から日本人の暮らし、日本での都市建設を推測する。

盲導犬などはまだ少ない中国では、万博が開幕してからすぐ5月10日から16日の間に、日本の聴導犬と介護犬についての紹介がある。ほとんどの中国人は、聴導犬、介護犬は、聞いたことさえもないだろう。ベルが鳴った。目覚まし時計が鳴った。聴力の弱い人のそばに、聴導犬がいるので、注意してくれる。また介護犬は、車イスに座っている障害者に靴下を脱いであげたり、落ちたものを拾ってあげたりする。障害者の暮らしは、この聴導犬、介護犬によって大きく変わっていく。めまぐるしい万博会場ではこれほど身近で便利なアイディア、日本人の努力は来場者に感激を与えるだろう。

「聴導犬などを連れて、上海万博で実演させることは、援助犬に対する関心を高めたいだけでなく、これからますます多くの人が援助犬を介して社会に参加できるようになることを願っている」という日本の担当者の声は新華通信社は大々的に情報を流している。水に囲まれている上海は、地理条件も大阪と似ている。大阪館は、水をテーマにして行う展示は、水処理にしても、水の有効利用にしても、上海にとっては今後都市建設の重要な参考になると思われる。

100万人も日本から上海万博に来る。上海で世界最新の都市や暮らしの概念などを見ると同時に、中国に日本の生の情報も持ってくる。中国のマスコミはその生の情報を市民に詳細に伝えたいと考えている。

一度日本に接するチャンスがあったら、日本へ行ってみたいという気持ちも出てくる。次の日本での万博を待ち切れずに、その前に多くの中国人は日本に行くかもしれない。万博は日本への関心を高めたからである。

 

人民中国インターネット版 2010年5月21日

 

 
 
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