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作者 | 上海万博会場を歩くと、実にカラフルであることに驚かされます。昼間は沿道を飾る花々、色彩感覚豊かな各パビリオン、そして、待ち列に並ぶ日傘の色々、赤色の中国館、会場各所に立つ「海宝」の青色などが目に飛び込んできます。夜ともなれば、世博軸を中心に幻想的な光のショーが疲れを癒し時の経つのを忘れさせてくれます。上海万博会場で、色彩発見の旅をするのも楽しみ方の一つといえます。
紫色は日中交流、省エネ、環境配慮のシンボルカラー
さて、日本館は「紫蚕島」と呼ばれていることからも分るように、紫色がイメージ・カラーです。赤色と青色を混ぜ合わせると紫色になります。ちょうど中国館の赤色と海宝の青色が混ざると日本館の紫色になるわけです。また、紫色は高貴さや長寿を表す色とされますが、この点は、日中とも同じです。日本館の紫色は、中国と大いに関係があることになります。 同時に、赤色は太陽色でエネルギーと、そして青色は大海色で環境と大いに関係があります。日本館では、展示や舞台演技を通じ、環境保全と省エネの重要性を取り上げていますが、実は、紫色の日本館は環境に配慮した省エネ構造となっています。
水、風、光を利用した次世代モデル建築
一口で言うと、水(雨水)、光、風といった自然の力を最大限効率よく利用することで、二酸化炭素の使用量を減らす構造となっています。日本館の全容を見ると、角のような突起物が三つ、大きなくぼみが三カ所に配置されています。エコ・チューブ(中国語は循環呼吸柱)と名付けられ、日本館を支える柱でもあります。エコ・チューブは、太陽光を取り込み、館内を明るくし、また、雨水を地下に貯え、上昇気流を発生させ、館内の温度を下げたりする機能があります。日本に古くからある「打ち水」や「縁の下」の習慣・知恵を応用しています。
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呼吸する巨大柱~エコ・チューブ |
日本館の外装は透光性のよい二重の新素材(ETFEフィルム)を使用し、その間に世界初のアモルファス太陽電池(黒色で横長)をいくつも組み込んで館内発電として使われています。節電というより創電を実現しているといえます。
日本館は、次世代環境建築のモデルでもあります。その技術はいずれ一般家庭に普及するでしょう。中国も今、環境友好型社会の建設に力を入れており、環境配慮型、省エネ・タイプの建築が急速に増えています。紫色が分解すると赤色と青色となるように、日本の環境技術が大いに中国でも普及してほしいものです。日本館内外でこの巨大な柱をじっくりご覧して下さい。
人民中国インターネット版 2010年6月1日
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