たこ焼きで楽しく、たこ焼きで架け橋に
上海万博に出店するため、永尾さんは誰にも知られている「ハレルヤ・コーラス」をアレンジし、自ら作詞した『たこやきハレルヤ』のオリジナル曲を作った。日本産業館の前を通ると、15分ごとにそのメロディが聞こえる。デカイタコは音楽に合わせて大きな体を動かしながら、墨に見立てた「霧」を吐いたり、目は世界最新LEDムービングライトで七色に光る。まるで「たこ焼きランド」のようだ。
「いらっしゃい」「焼きあがり」の元気な声で顧客を呼び集めながら、職人たちは素早く、リズム的にたこ焼きをきれいに作っている。「おいしさだけではなく、楽しく食べてもらうのは一番大事」というのは「くくる」のコンセプト。
その楽しさは上海だけではなく、大阪まで響き渡る。
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上海万博出張中のタコママ(写真・馮進) |
たこ焼きのおいしさと楽しさを紹介する永尾俊一さん |
道頓堀の本店で、五月に「小籠包風たこ焼き」を出している。上海万博を応援するとともに、大阪人に上海小籠包のおいしさを味わってもらいたいという。
「たこ焼き食べて、大阪に行こう」と「大たこ看板と写真を撮って、上海万博に行こう」というキャンペーンは、それぞれ上海万博現場と大阪本店で行われている。万博現場の「くくる」で50元(約700円)以上購入する人に、抽選で毎月一組二人に「上海大阪間往復航空ペアチケット」をプレゼント。大阪本店の看板の前で、「くくる」のたこ焼きを食べている写メールを撮ってキャンペーン応募する人に、抽選で三組六人に「二泊三日の上海旅行」をプレゼント。
「たこ焼きは上海と大阪の架け橋になるかも」と永尾さん。
万博はスタートライン
「くくる」の万博出店は今回初めてではない。早くも二十年前に、1990年大阪の「花と緑の博覧会」に出店した。あんまり知られていない「くくる」は、その万博で一気に有名になり、大阪から日本全土に広まり始まった。
2005年に、「くくる」は愛知の「愛・地球博」に出店し、毎日1万6000個(約2000パック)、愛知万博期間中に240万個の売り上げの実績を収め、大人気だった。
1億5000万円を投じて、上海万博に出店するきっかけを聞くと、「大阪万博で日本人が初めて見たものは、いまあたりまえとなっている。今度上海万博で中国人が初めて経験するものは中国のあたりまえとなるでしょう。そして、中国のあたりまえは、世界のあたりまえとなる」と、永尾さんはたこ焼きビジネスの国際戦略を描く。
上海をはじめとする中国進出を考えている一方、ここ数年急増している中国人の来日観光客の招致にも永尾さんは狙っている。道頓堀の本店に備えた日本語、英語、中国語、ハングルの四種類のメニューのうち、最近は中国語版の利用が急増しているという。「本場のたこ焼きを上海万博で味わってもらい、中国人に『日本でもう一度食べたい』と感じてもらいたい。道頓堀のたこ焼きが観光名所になれば、大阪の地域活性化にもつながる。大阪が元気になれば、日本も元気になる」
「日本はいま元気がない、上海万博から元気をもらい、もう一度自分の可能性を見直そうよ」。多く日本の企業にとって、上海万博は新たなスタートラインになりそうだ。
人民中国インターネット版 2010年6月3日
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