イタリア館のデザインは上海伝統の遊び「遊戯棒」(棒を使う積み木くずしのようなゲーム)にアイディアを得ている。不規則で組み合わせ自由な二十の機能モジュールで構成され、イタリアの二十の州を表している。パビリオン全体がまるでミニチュア版イタリア都市のようだ。
「人の都市」をテーマとするイタリア館は、科学技術、音楽、ファッション、建築などでの成果を通じて、活力に満ち、テンポの速い、人に幸福を感じさせる都市を表現している。
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イタリア館は外壁の40%に透明コンクリートを導入、昼間は太陽光を浴びて、館内は明るく、照明のための電気使用量を大幅に削減している |
イタリア館は五つのエリアに分かれているが、狭い街路、庭や横町などのほか、閉じられた広場もあり、それぞれにイタリアの異なった特色を展示している。広場のある壁にはファッション写真や移り変わる風景が一面に表示され、イタリアがファッション、科学技術、文化などの面で上げた成果を物語っている。来館者は、技芸に習熟したイタリアの仕立て職人、ブリキ職人、バイオリン職人などによる手工芸の技を見ることができる。また、潮汐やソーラーカーおよびソーラーバイクによってヴェネツィアを救うという、万博のテーマともふさわしい「モーゼ・プロジェクト」などを見ることができる。ほかにも、世界最高峰のスポーツカー、有名ファッション、イタリア名画といったぜいたく品も公開される。
世界的名声を誇るイタリアのファッションだが、とりわけ著名なファッションの都ミラノには多くの世界的高級ファッション・ブランドが集まっている。六カ月間の会期中、イタリア館ではドルチェ&ガッバーナ(D&G)、プラダ(PRADA)、アルマーニ、ヴェルサーチなど世界的ファッション・ブランドによるファッションショーが開催される。PRADAは、特にイタリア館のため制服デザインも担当した。
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注文靴の製作に余念のないイタリアのベテラン靴職人 |
イタリア料理に腕を振るうシェフ |
ミラノ最高のオペラハウス交響楽団とバレエダンサーが万博の会期中に上海で公演する予定だが、中国の観衆が強い興味を持っているサッカーのスター選手については、万博の会期中がちょうど南アフリカ・ワールドカップ期間とぶつかっているため、引退した選手がイタリア館の応援に来る可能性が高い。
透明コンクリートで省エネ実現
環境保護、持続可能性はイタリア館のデザインの初期段階から重視された要素である。デザイナーのGiampaolo氏は「われわれは生態気候に基づく方策を提起しています。冬には太陽の放射を利用し、夏は自然の空気の流れと水流によって温度を下げます。熱気は自動調節システムを通じて排出され、建物内部の温度を下げることができるのです。熱放射をコントロールすると同時に、熱エネルギーを、光電子集積回路を有する透明なガラス上に集めることができるため、電気の節約が可能です。最後に屋根部分の設計ですが、雨水による侵食を防ぐ効果を持つようになっています」
Dario Rota館長によれば、イタリア館にはまったく新しい空気清浄装置と抗菌タイルの床が完備されており、閉鎖的空間の空気をろ過し、汚染と病原菌を減少させているという。館内ではまた新しい透明コンクリートを導入、昼間は自然光が差し込んで館内全体が太陽光を浴びているようになり、照明を削減している。同時に、マイクロクライメイト(微細気候)コントロールシステムを備えたガラスウォールによって太陽の放射熱を吸収し、エネルギー消費を大幅に削減する一方で、太陽光を遮断して発電する役割を果たしている。
人民中国インターネット版 2010年6月7日
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