インタビュー 太平洋連合館長ベルナデッテ・ガニラウ(Bernadette Ganilau)氏
王茜=聞き手
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2010年上海万博太平洋連合館館長を務めるガニラウ氏は、1951年生まれ、フィジーにおいて作家、アナウンサー、政治家などのキャリアを持つ。さらに、積極的に旅行業の発展を提唱。また、人権と女性の権利についての仕事を担当したこともある | 「太平洋――都市のインスピレーションの源泉」をテーマとして、太平洋連合館は上海万博に「低科学技術化」の潮流をもたらした。ガニラウ館長はうれしそうに記者に語った。「私たちのパビリオンは1日に14万1000人の来場者を引き付けました。私たちは1日にこんなに多くの人を見たことがありません。太平洋にニュースが伝わって、人々はとても感激していますよ」
――太平洋連合館のもっとも大きな特色は何ですか?
最大の特色はここの人にあります。太平洋連合館は14の太平洋の島国と2つの国際機構が共同出展しています。ここのスタッフはそれぞれ異なった国から来ており、ある者は肌が黒く、ある者は豊満な体つきです。ある者は小柄で、ある者は優美な顔つきをしています。またある者は私と同じくとても大きな体格をしています(笑い)。しかし、私たちはみな太平洋地区から来ており、同じ帰属意識を持っています。つまり、私たちはみな太平洋の大家族の一員なのです。
ほかのパビリオンでは多くは先進のハイテクを展示していますが、それに比べて私たち太平洋連合館の展示は、科学技術はあまり多くありません。しかし、私たちは独特の民族文化とあふれ出る民俗情緒を展示しています。ここでは、来場者が特色ある唄や踊りを堪能でき、本当の太平洋情緒を体験することができるのです。私たちは各国の祝日を共有しており、毎月、毎週すぐれたプログラムを上演しています。
――太平洋連合館が上海万博に出展する上での目標を聞かせてください。
まず、私はさらに多くの中国の人たちに太平洋地区のことを理解していただきたいのです。私たちと中国には多くの似たところがあります。どちらも悠久の歴史を持ち、数百年も前にすでに中国人は太平洋地区を訪れ貿易を行いました。ほかにも、中国の人々に私たちの独特な生活様式についても理解していただきたいと思います。
第二に、私たちは太平洋地区の旅行業を発展させ、商業と貿易の交流を促進し投資を拡大したいのです。多くの太平洋の島国は資源が豊富で、木材や金、銅などを大量に産出します。
第三は、中国の国力は急速に伸び、市場は絶えず拡大しており、中国の急速な発展は米国やニュージーランド、オーストラリアに比肩しうるほどです。さらに、私たちは中国にビザなしで訪れることができ、とても便利です。私たちは、中国が目を太平洋地区に向け、私たち独特の島国文化が旅行客の心身をリラックスさせ、存分に生活の美を享受してもらいたいと思っています。
――館長さんは上海万博のテーマ「より良い都市 より良い生活」をどのように理解されていらっしゃいますか?
私たちのパビリオンのテーマ「太平洋――都市のインスピレーションの源泉」がそっくりその答えになっています。中国は現代的な都市を擁し、先進的な科学技術も備えていますが、生活はシンプルであってこそ住む人の心身の健康には良いのだということを忘れてほしくありません。太平洋連合館では、当地のグルメをお楽しみいただけますし、当地の素晴らしいライフスタイルを体験していただけますが、どれも実はたいへんシンプルです。そして大金も必要ありません。太平洋の島々に暮らす人々は健康で、心楽しく、人生に対してもとてもポジティブです。
――中国はどのような都市建設を進めればいいと、お考えでいらっしゃいますか?
上海の旧市街を散策し、古い建物の町並みを目にして、ほんとうに心引かれました。通りに向かって屋根が斜めになっている古い家々。私はそうした古めかしいものにとても愛着を感じます。上海市内から古い街並みや田畑がなくなってしまうのが残念でなりません。古い街並みは貴重な文化遺産であり、古き良き時代の生活を代表しています。私たちは過去を忘れてしまってはいけません。未来への発展だけに心奪われてしまってはいけないのです。自分たちがどこから来て、どこに向かうのかをしっかりと分かっていなければなりません。過去の歴史を正しく評価できてはじめて、本当の自分を確立することができるのですから。
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5月12日、南太平洋観光局と太平洋諸島フォーラムのスペシャルデーでガニラウ館長はスタッフとともにテーマ曲を合唱した |
中国のことで私が意見を申し上げるのは、ちょっとお門違いです。中国の経済は大きく発展し、就業の機会も増え、人々の暮らしも日に日に良くなっています。それは世界中の人々が驚嘆している通りです。中国のいっそうの発展の途上にはきっと困難もあると思いますが、中国は人口も膨大な大国ですから、私たち太平洋上の島国とは抱える問題も異なります。意見を申し述べる立場にはございません。
――上海以外の中国の都市を訪れたことがありますか。もっともお好きな都市はどこでしょう?
北京、昆明、麗江……いくつかの都市を訪れましたが、昆明市がいちばん好きです。親切な人々、豊かな資源、独特の地形、そしておいしい食事。上海ももちろん大好きです。ここの人々はとても友好的です。そして上海万博の準備のためにも大きな貢献をされました。
――万博会場ではどのパビリオンをご覧になりたいですか?
それはもちろん中国館です。太平洋諸島国から取材に見えたマスコミの皆さんからも「どのパビリオンがいちばん立派だと思いますか」と聞かれましたが、太平洋連合館は別として、なんと言っても中国館が立派です。上海万博のランドマークと言ってもいいでしょう。中国の人々はここから全世界に向けて「わたしたちは中国人です」と宣言しているのです。
人民中国インターネット版 2010年6月8日
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