わが街を愛することーー日本館を見ての実感  
 

文・写真=王浩

ある日の夕方、日本館の出口で陳霞さん一家に出会った。陳さんは河南省鄭州市のある銀行に勤めている。上海万博の開幕がちょうど「メーデー」の連休と重なるため、彼女は家族全員を連れて、万博を見に上海にやってきた。

日本館から出てきて、「入場まで三時間並んだけど、日本館を見た後、並んだ甲斐があったと思いました。ここに展示されているのは人類の未来生活の一シーンで、視野が開かれたと思います」と、陳さんはうれしそうに言う。陳さんの息子は陳さんとは違って、館内のロボットに興味津津だった。

日本館を見学し終わった陳霞さん一家

万博が開幕してから、観光客が上海に大挙してやってきた。初日だけでも延べ二十万人近く。上海市民だけではなく、陳さんのようなよその地からの来場者も少なくない。人が多いため、日本館やサウジアラビア館、中国館などの人気パビリオンの入り口には、長い行列ができて、待ち時間が三時間を越えた。それにしても、人々の万博に対する情熱は大したものである。

陳さん一家は一日かけて、五つのパビリオンを回ったが、フランス館や日本館、スイス館がとくに印象深かったという。「私はいつもほかの国の人々の暮らしや風土人情を知りたいと思っていました。以前カナダに旅行したことがあり、とってもいい思い出になりました。今回は万博に来て、こんなに小さな会場でさまざまな国の人と事情が分かり、とても勉強になりました」と陳さんは言う。

上海万博の出展国は、みな自国の文化や理念をどのようにアピールするか工夫をしている。フランス館は国宝クラスの名画六点と彫塑一点を持ってきたが、デンマークはコペンハーゲンの人魚姫の像を上海に運んできた。人魚姫がデンマークを離れるのはこれが初めてだという。このような貴重な展示物は、中国の来場者を大いに喜ばせている。浙江省からやってきた劉亜静さん(十六歳)は小さいころ、アンデルセン童話が大好きで、とくに『人魚姫』に夢中になり、その悲しい結末をどうしても受け入れられなかった。今、大きくなった彼女は、二時間もの行列に並んだ末やっと人魚姫に会えたが、それでもうきうきとして満足げである。貴重な展示物に加え、ハイテクやマルチメディアによる展示が、極めて見る価値のある大盛会の万博にしている。

「より良い都市、より良い生活」は上海万博のメインテーマであるが、主催国である中国はテーマを伝えるために五つのテーマ館を設け、いずれも人気パビリオンになっている。「上海万博のテーマはとってもいい。パビリオンの展示は私に環境保護の必要性やできるだけ低炭素のライフスタイルを心掛けるよう呼びかけています」と陳さんは言う。また、万博を見学した後、陳さんは自分の住んでいる鄭州市についてもいろいろ考えさせられた。中国のほかの都市と同じように、最近鄭州市も急速に発展し、都市の規模もしだいに大きくなり、人口もどんどん増えている。「都市の拡大と発展は避けられない情況ですが、街の一員として、街がよい方向に発展できるように、自分もわが街を愛し、力を出すべきです」と陳さんは言う。

万博開催中、万博会場は毎日世界各地から観光客を迎える。予測によると、上海万博の来場者数は七千万人に達する見込み。観光客が引きもきらずにやって来るにしたがって、上海万博は「より良い都市、より良い生活」というテーマを世界中に伝えていくことだろう。

 

 
人民中国インターネット版 2010年6月18日

 

 
 
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