青い星

「より良い都市、より良い生活」これは上海万博のメインテーマだが、このテーマについて、私たちにはそれぞれ異なる認識と解釈があるはずで、上海万博局のテーマ演出部の季路徳部長は、「上海万博のメインテーマを決める討論の中で私たちが気付いたことは、都市化の過程における最大の問題とは、つまりは人の問題であり、それは即ち人、都市、環境の三者間の関係性についてであり、この三者間の調和的共存共生のあり方を如何に確立するかということでした」と語る。

都市プラネット館は、人、都市、環境の調和的共存共生の必要性を私たちに訴え掛けている。当館は、「広がる都市」「迫り来る危機」「青い星」「解決の道」「かけがえのない私たちの地球」と題された五つのホールから構成されていて、都市の発展、生態系破壊の問題、私たち自身の意識の変革、解決の方法、そして現状に対する反省について、それぞれ語り掛けてくれる。 　

「迫り来る危機」ホールでは、そこに一歩足を踏み入れると、耳をつんざく機械音が聞こえてきて、巨大な工事現場にいるような錯覚に囚われる。このホールは、木、火、土、金、水という五行思想の五つの元素に沿って、過度な開発による資源の枯渇、森林の伐採、土砂の流失、化石燃料の大量消費による地球温暖化、オゾンホールの拡大、日々深刻化する水資源の不足など、人類と地球が直面する問題の数々を提示している。そして、一つひとつのデータや写真によって、私たちは、人類が地球環境に対して過度な開発を行い、それが環境の変化をもたらし、結果的には自分たち自身の生活に悪影響を及ぼしているという事実を目の当たりにする。都市プラネット館のドイツのプランナーは、「設計作業の過程で、私たちは中国の五行思想を用いて、この館のコンセプトと展示内容に整合性を持たせ、且つ形式と内容の統一を図ることにしたのです」と語った。

世紀初頭、世界の自動車台数は2万5000台にも満たなかった	2010年現在では、世界の自動車台数は10億台の大台を突破した

「青い星」ホールでは、巨大な地球の模型が展示されていて、私たちは高さ十二メートルの台からこの巨大な「地球」を俯瞰できる。この「地球」は絶えず変化して、地球の砂漠化や温暖化などの現象を視覚的に見せてくれるので、私たちは地球のありさまを十分に理解できる。 　

こうして人類の自然破壊と直面する危機への警鐘を鳴らした後、「解決の道」ホールでは地球と人類を救う方法も提示してくれる。エネルギー消費におけるエコエネルギーの重視と開発がその一例だ。専門家の間では、サハラ砂漠三％分の面積を利用した太陽光発電を行えば、全世界分の電力供給が可能と言われていて、現在、世界各国の専門家がサハラ砂漠でこの研究開発に全力で取り組み、十年後にはサハラ砂漠の太陽光発電所から電力供給が開始される予定だという。また、このホールでは、使い捨て製品の使用削減、アルミホイルの使用禁止、外出時の自転車多用など、環境保護のための低炭素生活スタイルも積極的に提唱している。 　

「都市プラネット館が語るのは、危機的状況から私たちが安心して暮らせる状況へと転換させる物語で、この物語の主人公は私たち自身なのですから、私たちは自分たちの生存危機を切実に感じると同時に、この危機から脱するための解決方法を探し出さなければならないと思うのです」とドイツのプランナーは語る。

ゴミは都市の巨大な負担だ

最後に、「かけがえのない私たちの地球」ホールでは、ドーム型スクリーンに映画が上映される。それは短い作品なのだが、都市の発展がさらなる新しい都市を生み出し、その加速的発展が自然にどのような影響を及ぼすのか、一方、人類は如何なる努力で現状を改善し、都市と地球の調和的発展を進めてきたのかといった内容を教えてくれ、人と都市と地球の関係についての最良の「まとめ」となっている。 　

都市プラネット館の出口には、「かけがえのない私たちの地球」という言葉が大きく書かれている。その前で多くの来場者たちが記念撮影をしている。その表情を見れば、「より良い都市、より良い生活」という上海万博のメインテーマが一人ひとりの胸に深く刻まれたと強く実感できる。季部長は、「私たち上海万博関係者は『より多くの人に万博会場に足を運んでもらう』とよく口にしますが、究極的には、上海万博を来場者一人ひとりの胸に深く刻み込み、『より良い都市、より良い生活』という理想をより多くの人に分かってもらうことこそが大切なのだと思います」と、最後に語ってくれた。

人民中国インターネット版　2010年6月24日