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「きれイ、かわいイ、きもちいイ」という「J感覚」をアピールする日本産業館に入ると、まず案内してくれるスタッフたちの制服に目が行く。まさに「J感覚」そのものだと、そのデザインに非常に感心した。
「J感覚」をうまく伝えたのは、ステーショナリーやパッケージデザインなどで幅広く活躍するデザイナーの小渕暁子さんだ。そして、「J感覚」のほか、この制服にはもうひとつ驚くことがある。それはリサイクルできることだ。生地を提供した帝人グループの新井直樹CMO付は、「リサイクル可能なポリエステル素材が使われており、上海万博閉幕後に回収し、新たなポリエステル繊維に再生できるので、環境にとてもやさしい」と話す。
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帝人のこうした環境にやさしい理念は、日本産業館に出展したブース「生命の星」でも強く訴えられている。世界的に有名デザイナー吉岡徳仁氏の手による世界初となるこのモニュメントは、圧倒的な存在感をもつ地球をイメージし、帝人が目指す「人と地球環境に優しい化学技術」を象徴する。
そうした理念のもと、帝人は2002年、世界初のポリエステルのケミカルリサイクル技術を開発し、それに基づいて循環型リサイクルシステムを展開している。今回の日本産業館の制服の再生も、このシステムによるものである。現在、帝人の「環境」に対する理念に賛同し、帝人と共同でポリエステル製品の循環型リサイクルに取り組む「エコサークル」メンバー企業は、世界中で130社以上もある。スポーツウェアメーカー「李寧」はそのうちの唯一の中国企業だ。新井さんは、「李寧とは昨年10月に提携を始めた。発展を続ける中国を代表する企業である李寧が、『エコサークル』を通じて地球環境保護に貢献することは大変意義深い」と語る。
帝人グループは、1970年代にポリエステル繊維事業で中国へのプラント輸出を実施して以来、今日に至るまで北京・上海などの主要都市に生産・販売・マーケティングなどの拠点を構築し、グループ会社12社、約2,000人の従業員を擁し、アラミド繊維、ポリエステル繊維、フィルム、樹脂、医薬医療、流通製品などの事業を展開している。新井さんは、「帝人はグローバルマーケティングを推進していく中で、地域別には中国を最重要地域と捉えている。従来は生産活動が主体であったが、今後は中国が大きな市場へと転換していくだろう」と中国市場の重視を話す。また、「今回の上海万博出展を通じて、環境への重視をアピールし、顧客の信頼向上を期待しており、中国でさらに大きな市場を開拓していきたい」と、万博効果への期待を示している。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月1日
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