上海万博にみる未来の食生活  
 

上海万博には未来の都市発展に関するたくさんのアイデアとハイテクノロジーが集まっている。では、私たちの暮らしにもっともかかわりのある飲食はどのように変化するのだろうか。どうすれば健康的で環境に配慮した食生活が実現できるのだろうか。一般家庭のキッチンは今のままで変わらないのだろうか。人々は飲食の面でどのような未来を構想しているのか、科学技術の注目すべき点や目新しいことはないか、上海万博から探ってみよう。

野菜は私たちの毎日の食卓に欠かせないものであるが、現代的な大都市においては、汚染されていない品質の高い野菜はどこで購入できるのか頭を悩ませている主婦も多いことだろう。万博会場浦西エリアの「家庭光波菜園」にこの答えがある。

ここは「菜園」と言っても、各種の科学技術が融合したガラス張りの部屋で、レタスやアブラナなどの作物を栽培している。室内は光、温度、湿度、養分などを人工的にコントロールしているので、野菜は季節や土壌、気温などの環境要因の制約から完全に解き放たれる。係員の楊彦青さんは、「この菜園の特色は水循環システムです。水を節約できるうえ、この白い発砲プラスチックの光反射作用により、電力を節約することもできます。この灯管は省エネの蛍光灯で、約2万時間使用することができる。こうして、省エネ環境保護の状況の下、健康的で品質の安定した野菜の栽培を保証しているのです。室内の温度は約23度にコントロールされ、植物の生長に最も理想的な環境をつくり出しています。今後は、農業の経験がなくても、この設備の操作方法さえ知っていれば、どこでも誰でも野菜を栽培することができるようになります」と話す。

 

自分で栽培した野菜であれ、スーパーで買ってきた肉や乳製品であれ、冷蔵庫に保管して新鮮さを保つ必要があるが、2015年の都市生活を紹介するエリア「天下一家」は、私たちが渇望するインテリジェント冷蔵庫を展示している。この冷蔵庫は食材の新鮮度を教えてくれるだけでなく、さまざまなメニューを提供してくれる。キッチンの「小さな助手」と言えよう。係員の趙穎さんは、「この冷蔵庫は開けずに中の食材を確かめることができます。例えば、中にニンジンがあれば、その新鮮度や主要成分などが冷蔵庫の表面に表示されます。そしてなによりも、その食材を使ったメニューを推薦してくれるので、それを見ながら調理することができ、健康的で美味しい食事が楽しめる」と話す。

趙穎さんによると、2015年のこの理想的なキッチンには、人間の知恵と科学技術のアイデア溢れる飲食設備が集まり、調理効率を大いに高めていると同時に、低炭素・環境保護を大幅に実現しているという。また、水循環を実現する「クリーンシンク」については、「シンクもキッチンの重要な一部分です。私たちは毎日、野菜や果物を洗いますが、その汚水は中の汚水処理システムによって浄化され、循環再利用されます。これによって水資源を大いに節約できるのです」と紹介する。

疲れて帰ってきてキッチンに立ちたくないというときもあるだろう。そんなときは調理ロボットの「愛可」が食事の準備をしてくれる。「愛可」はある中国企業が自主開発した調理ロボットで、100種類もの中華料理を作ることができ、煮る、焼く、炒めるなどさまざまな調理方法に精通している。しかも赤外線測温と電気加熱技術の融合により、作業効率がとても高い。係員の郁瀟さんは、「基本的に人間の動きができます。特に典型的なのは、人間の腕の動きを真似て中華なべをあおることで、その姿はとても可愛らしい。赤外線測温と電気加熱によって、油の温度はたちまち200度に達し、3分で一つの料理を完成させることができます。味もすばらしい。『宮保鶏丁』(鶏肉とナッツのピリ辛炒め)や『水晶蝦仁』(海老の水晶風炒め)なども作れます」と話す。

こうした科学技術のアイデアは未来の食生活を便利にし、健康と活力を与えてくれる。上海万博には災害や緊急時に役立つ特殊な米飯も展示されている。日本の研究者が開発した「ホッと! ライス」だ。容器の中に水を少し注ぐと、自ら発熱して熱々のごはんになり、電気やガスはまったく必要ない。係員の王夕萌さんは「ホッと! ライス」の特長について次のように紹介する。「災害時の非常食になります。特長の一つは、高圧処理をほどこした無菌米飯なので長期保存が可能であること。5年間保存できます。もう一つは、美味しくて、調理もとても簡単なこと。電気やガスがなくても、簡単な処理によって美味しいご飯になるのです」

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月5日

 

 
 
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