国連環境計画(UNEP)前事務局長のクラウス・テプファー氏は3日午後、南京で開催された上海万博のテーマフォーラム「環境の変化と都市の責任」のサブフォーラム「公衆の参加とグリーン都市の建設」の中で、「人口が都市に集中して超大型都市が形成された後に来るのは環境保護の問題であり、人々は都市に入るだけでなく、都市に緑を取り戻したいと願っている」と述べ、「政策は民衆が見たり、聞いたり、感知できる問題と結びつける必要があり、さもなければ民衆の支持は得られず、命令を下すだけではなかなか推進できない」と指摘した。
台北県のグリーン都市への道
かつては環境汚染によって魚や鳥が死に、川は干上がって異臭を発していた台北県。公衆が環境保護活動に参加し、小さなことから始めることで変わった。例えば交通の面では、台北県は人口390万人、自動車保有台数310万台であるが、電気自動車がガソリン車やディーゼル車に取って代わり、自転車を無料で提供し、歩道を広くして車道を狭くし、公共交通を大いに発展させた。こうした多方面の処置によって、マイカーを運転して出掛けるより公共交通を利用した「グリーン外出」のほうが便利になり、人々は自然と公共交通機関を選ぶようになった。これにより、燃油車両は50%減少し、公共交通機関の利用者は40%増加した。
また、これまでの規定に反したゴミステーションや違法の工場はすべて除去され、公園や人工湿地に生まれ変わった。汚水処理場の統一によって処理能力が20%増加したうえ、処理費用は化学工場が単独で処理する場合の10%に過ぎず、処理後の水は都市行政で用いられ、4本の汚染河川が湿地になった。さらに、住民の低炭素生活への支援を重視し、流行の「相乗り」も政府の推進によって大きな効果をあげ、いくつかの都市が共同で「相乗り」プロジェクトを推し進めた。いずれも以前からある方法だが、全部行うと、並々ならぬ効果が得られる。
政府が一歩先を行く
メキシコ環境天然資源省都市交通観光業環境促進局のセサール・ラファエル・チャべス局長は、「メキシコシティーは多くの大都市と同じように住宅問題が深刻で、住宅価格が高止まりしている。しかしそうであっても、私たちは住宅問題の解決に低炭素を結びつける計画であり、無駄が大きくなるので、以後の再改造を待つことはできない」と述べ、メキシコは低所得者層でも低炭素住宅に住むことができる「グリーン住宅計画」を進めていると紹介。「政府は低所得者層のために低炭素団地を建設した。この団地は建築からインフラまですべて低炭素・環境保護の理念を体現している。低所得世帯は『グリーンローン』を利用してこれを購入することができ、政府は彼らに補助金を支給している」と説明した。
オーストラリア・シドニー市議会の郭耀文議員も同じような理念を持っており、「シドニーはCBD(中心業務地区)を低炭素地区に変える過程で事業主たちの抵抗に遭った。既存のビルを「グリーンビル」に変えるには巨額の費用が必要だからだ。これは政府が一歩先を行けば、ほかの部門も必ず後についてくるだろう」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年7月7日
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