「アフリカの夢」をリアルに体感  
 

孫玲=文

私たちの大多数にとってアフリカ大陸は神秘に満ちている。アフリカの持つ恵まれた自然の景色、古い文化遺産や多彩で豊富な風俗や人情に引かれ、多くの観客がアフリカ連合館に足を運んでいる。上海万博には、アフリカ大陸の五十三カ国のうち、五十の国が参加している。八カ国が独自のパビリオンを出展しているほか、四十二の国とアフリカ連合(AU)がアフリカ連合館で展示を行っている。そこでは、最もアフリカの特色を有する展示をしており、アフリカ連合館管理部の陳錦田部長が言うように「ここでは、アフリカを目にし、アフリカを聞き、アフリカに触れ、アフリカを味わうことができます。そして、アフリカの人たちとともに歌い、ともに踊り、笑顔を交わすこともできる……」のである。

真実のアフリカを「味わう」

アフリカ連合館はCゾーンに位置し、地下鉄7号線の「後灘」駅の出口にも近い。建築面積約二万六千平方メートルは、万博会場内のパビリオンの中でも最大級である。来場者に真実のアフリカを見せようと、アフリカ連合館は外面のデザインからアフリカらしさをふんだんに盛り込んでいる。そのアイデアはアフリカのキンゴウカン(金合歓)の木から来ており、陳部長は「キンゴウカンはアフリカのどこでも育つ植物で、こうしたものはアフリカには数多くありますが、私たちはそのうちの一つを用いて、古い歴史を持ち活力に満ちたアフリカを表現しているのです」と紹介してくれた。木の根は栄養を汲み大木を広い空に向かって自由に成長させるが、これはアフリカが郷土文化の根源から力を摂取することの象徴である。そして、砂漠、カモメ、動物、建築物などは、アフリカ大陸の多様な姿を簡潔に描き出したものだ。

一九七四年、エチオピアで有名な古代人類の化石「ルーシー」が発見された。「ルーシー」は三百万年前から四百万年前に生息していたアウストラロピテクスで、人類の最も古い祖先と考えられている。アフリカ連合館に入ると、巨大な人の顔の彫刻が目に入るが、これこそ「ルーシーのほほ笑み」である。そして、二十九の異なった胸像が古代から現代までを表して続き、人類の絶えず連なる血脈の旺盛な生命力を象徴している。同時に、アフリカのほほ笑みはアフリカの人たちの友好的な性格を伝えている。

アフリカ連合館に入るとすぐに「アフリカのほほ笑み」に出会うことができる(東方IC)
パビリオン内を見て歩けば、濃縮されたアフリカ王国の中に身を置いたかのようだ。テーマ展示コーナーには、百五十近くの貴重な品が展示されており、その中にはアフリカの岩絵やプリント地の布、彫塑、陶器、楽器なども含まれている。それぞれの国家館には、思い思いに木彫、陶器、毛皮、楽器、仮面などが陳列され、訪れる人々は濃厚な「アフリカの味わい」を感じることができる。

例えば、ガーナは首都アクラのブラック・スター・スクェアにあるランドマーク的建築物の「自由と公正の門」をここに再現した。門の上には東西南北に向けられた黒い五角形の星があるが、これはアフリカの自由を象徴する北極星である。展示コーナーには多くの腰かけがあるが、ガーナ人にとって腰かけは神聖で清らかであることの象徴だ。彼らはそれを細心に管理・保存し死ぬまで離さず、毎日きれいな水で洗う。ケニア館の「村落」では、プロによる芸能ステージとマサイ文化の特徴がよく表れた毎日のイベントが行われている。セネガル館では人工の茂みの中に勇猛なライオンが姿を見せるが、そこには高く大きなバオバブの木が配されていて、伝統と現代が結びついたセネガルを見せてくれる。

ところで、アフリカ連合館内の床は青、黄、緑の三つに色分けされている。管理部スタッフの郁晨露さんは「青は海を代表し、黄色は砂漠を表します。そして緑は森です。来場者は自分のいる場所の床を見るだけでその国が海洋国家なのか砂漠を持つ国家なのか分かるのです」と教えてくれた。確かに、アフリカはこうした多様な地形を有している。

感情あふれる生のパフォーマンス

アフリカの特色である生で繰り広げられるパフォーマンスは、アフリカ館の一大ハイライトになっている。アフリカ連合館の中央には舞台がしつらえられており、万博会期中アフリカ十八カ国からの公演団が交替で公演を予定しており、毎日五回のパフォーマンスが見られる。

エチオピアの音楽とダンスを見れば、その入れ墨から服装、髪形までアフリカの特色を備えているのが分かる。マリのバンドとカーボベルデの裸足の女王と呼ばれる歌手は世界的に有名である。エリトリアのSBRIT国家歌舞団は二〇〇〇年のハノーバー万博と二〇〇五年の愛知万博にも参加しており、今回は古代に起源を持つアフリカの伝統ダンスを披露し、ユニークな楽器や動物のイメージを通してエリトリアの姿を見せてくれる。また、セーシェルのMoutyaダンスには民族の色彩が満ちており、人々が夜たき火を囲んで軽やかに踊り出す楽しい場面を表している。

アフリカ連合館の東西にもそれぞれ小舞台があり、手工芸職人がマダガスカルの織物を作る姿などが見られるが、職人が一日に完成させられる服はわずか一着という。また、入れ墨パフォーマンスも、自ら体験したいという多くの来場者を引き付けている。

アフリカでは、マスク(仮面)はそれぞれ異なった神や祖先を表しており、かぶって顔を隠すだけでなく、身につける装いのひとつ、道具やお守りでもある。万博会期中、三人の出演者が二十の典型的なマスクを会場に持ち込んで披露している。これらのマスクは主に木で作られているが、ほかに青銅、黄銅、赤銅、象牙や陶器で作られたものもあり、貝殻やさまざまな色の玉、骨、動物の毛皮、植物繊維などで飾られている。

バザールで特色ある品物を探そう

アフリカ連合館の東西にはまた、それぞれアフリカン・バザールが設置されている。ここにははるばる運ばれてきた、石刻、木彫、草編みのかご、牛骨の耳飾りやネックレスをはじめ多くの手工芸品が並んでいる。初めて開発途上国で開催された万博のために、アフリカの国々は彼らの最も優れたものを運んで来たのである。

これらの手工芸品の中でも、特に百元という値段のソマリアの楽器「羊皮のドラム」が人気を集めている。また、その場で自分の名前を刻むこともできる陶器を手に取る来場者も多い。

郁さんが語ってくれたところによると、これまでの万博ではそれぞれの国のパビリオンで特色ある商品を販売していたという。今回の上海万博ではアフリカン・バザールを開設して一緒に販売しているが、これは市場が市民生活に密着しているアフリカの特色にも符合する。アフリカ連合館の来場者数は、五月十九日にいち早く百万人を突破した後も好調に推移しており、人々の関心の高さを物語っている。

 

人民中国インターネット版 2010年7月22日

 

 

 
 
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