上海万博日本国家館館長 江原規由
先日、ある省の万博ウィークの開会式に参加したところ、布製のエコバッグがお土産として配布されていました。最近、中国の環境意識は大いに高まっており、商店などの買い物ではプラスチックバッグ代が必要です。日本館の裏手にあるコンビニのプラスチックバッグ代は三角(約四円)です。日本でもこうした習慣が広まりつつありますが、都市についていう限り、自らのエコバッグを持参し買い物する客数は圧倒的に中国のほうが多いようです。
目下、中国は「環境友好型社会」(環境にやさしい社会)の建設に邁進しており、布製のエコバッグのお土産にもこうした姿勢・意識が感じられます。万博はこうした中国の環境保全の取り組みを内外に紹介する上で大きな機会となります。
ポイ捨てられたペットボトル
先日、通勤バスに乗ると、女性運転手がペットボトルの飲料を飲んでいました。驚いたことに、出発直前、彼女は飲み干したペットボトルをバスの窓から駐車場のアスファルト上になんのてらいもなく放り投げました。バスには、各国・地域パビリオンの外国人も大勢乗っていました。エコバッグに込められた「思い」を一気に台無しにするような行為を目のあたりにして大いに残念な思いがしました。
七月五日付けの新聞晩報には、「園区三十大礼儀缺失」(万博会場での三十のマナー欠如)がリストアップされていますが、その第一は、「むやみにゴミを捨てる」となっています。
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万博会場をいつまでもきれいに |
万博は「マナー・ウイルス」繁殖の絶好の機会
万博は、マナー意識を向上させる絶好の機会でもあるはずです。国内外から多くの人がやってきます。ある人のマナー行為に共感して自分もやってみようとする機会は少なくないでしょう。喩はあまりよくないかもしれませんが、ウイルスがヒトからヒトへと感染していくように、マナーも人から人へと広まっていくものです。そうした意味で、万博は「マナー・ウイルス」が繁殖する絶好の温床といってよいでしょう。
日本館で垣間見たことですが、ある人が飲み干したペットボトルを待ち列の脇に置きました。それを見たアテンドさんが拾って片づけていました。それを見た別の人が、自分の空のペットボトルをアテンドさんに手渡していました。
万博は、こうしてマナーの向上にも一役買っているとつくづく感じさせられた光景でした。
人民中国インターネット版 2010年7月28日
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