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道行く人々に便利を「報刊亭」の販売員

王焱=文・写真

中国の新聞・雑誌販売の小売市場では、キオスク式の「報刊亭」での販売が主流を占め、伝統的な自転車に載せたり人が担いだりする街頭の呼び売りに取って代わっている。キオスクの多くは交差点、バス停の近くにあり、電灯の照明があり、雨をしのげる屋根があり、新聞・雑誌の種類が豊富にそろっている。聞くところによれば、北京だけでも二千あまりのキオスクがあり、それらは郵政機関の管理下にある。

このキオスクの経営権を申請できるのはほとんどが北京の地元の人々であるが、経営権が下りると貸賃を取って地方から働きに来ている人に任せることが多い。

39歳の王東さんは江蘇省出身で、故郷では小学校、中学校で十年以上、薄給の国語の代用教員をしていた。息子を大学に行かせるための学費を稼ごうと、妻とともに北京に出稼ぎにやってきた。昨年、知人の紹介で王さんは北三環路沿いのバス停のそばにあるキオスクを借りた。毎日朝五時には、住まいから近くの郵便局に朝刊を取りに行き、それから店を開け、バスを待つ人々に新聞を売る。「食事もここでします。トイレに行くために離れるほかは、夜十時までずっとここで働いています」

午後三時になると客が少なくなり、郵便局から『北京晩報』『法制晩報』などの夕刊が届けられる。王さんは五種類の版を広げると、右手で素早くその五種類の中から一部を取り出しては、次々に左手の方に移し、ひとそろいの『北京晩報』を完成させる。

「これは新聞をセットする作業です。『北京晩報』のような総合紙は、内容によって四、五種類の版に分かれており、それぞれ別々に印刷されます。ニュース面は時間が勝負ですから、普通は生活面よりも遅く出てきます。版ごとに分けて梱包されて届くので、一セットの完全な新聞を自分で整えてからでないと売ることができません」  王さんによれば、新聞・雑誌は郵便局に属する新聞雑誌小売公司から仕入れるが、新聞の多くは買い取り販売であり、部数は、その小売公司がそれぞれのキオスクの立地条件の優劣によって分配することになっているという。

新聞をセットするときの手袋(軍手)。右手にはめる。手袋なしでは指が大変なことになる

「一部が一、二元の新聞を売ったところで儲けは数角にしかなりません。一日に売れるのは百部ほどです。分配されただけの量が売れなければ、売れ残りの新聞はただのゴミになり、損失になります」

彼は地面に積まれた新聞を指差しながら言う。「この新聞は昨日50部届いたものですが、20部ほど売れ残っています。紙屑として廃品回収に出すしかありません。雑誌の方がましです。多くは代理販売なので、売れなければ返品することができます」

少しでも多く売るために、王さんは朝早くから夜遅くまで、雨の日も風の日も休みなく働く。「週末もなにもありません。一日休めばその分自分の稼ぎが減るだけなのですから」

北京の通りには飲み物の自動販売機はほとんどないため、少しでも多く稼ごうと、王さんのキオスクでも飲み物を売っている。さらに公衆電話を置いたり、さまざまな電話のプリペイドカードも販売したりしている。

王さんのキオスクの稼ぎは一カ月あたり3000元から4000元ほどになる。しかし、そこから2000元近いキオスクの賃貸料を支払い、600元の管理費を新聞・雑誌小売公司に支払う。そのため王さんの収入となるのは千元から2000元程度である。

骨の折れる仕事ではあるが、自分の小さなキオスクが毎日道行く人々に便利をもたらしていることを、彼は誇りに思っている。道を聞かれて教えてあげることも、彼の無償奉仕の一つである。「ここで道を尋ねる人は、新聞を買う人よりもずっと多いんですよ」王さんはそう言って笑った。

 

人民中国インターネット版 2010年8月

 

 

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