「私たちの心は海宝とひとつに」
――上海万博青年ボランティアに聞く
 
 

 

「人の手助けをすることがとても楽しい」

ガブリエル・メレディスくん アメリカの十年級生(高校二年生に相当)

ボランティアエリア 盧湾区万博シティボランティア・サービスステーション

ガブリエルくん(ボランティア部提供)

コーヒー色の髪、茶色の瞳。暑い日中に笑顔を絶やさず、中国語の共通語で来訪者に応じる今年十七歳になるアメリカの男子高校生、ガブリエル・メレディスくん。中国名は「馬至楽」。

ステーションの仲間たちは彼のことを親しみをこめて「小馬」(馬くん)と呼ぶ。

数カ月前、小馬はアメリカから、上海で働く母親に上海万博のシティボランティア・サービスステーションで働くボランティア要員になれるよう申請してほしいとお願いした。願いがかなってボランティアに。

ステーションでの第一日目、やって来た観光客は紺色のシティボランティアの制服を着た外国人の小馬に、誰もが好奇の目を向けた。自分に目線が集まっているのを意識すると、小馬はどうしても恥ずかしさが先にたって、うつむいてしまう。でも何日かたつと、もう大丈夫、最初の恥ずかしさなどはどこへやら、自分から進んであいさつできるようになった。

ステーションはにぎやかな盧湾区打浦橋に位置し、付近には多くのバス停留所があり、地下鉄9号線の「打浦橋」駅にも近いため、交通事情はなかなか複雑だ。彼は仲間たちに教えてもらい、それぞれの交通拠点からどう行けば万博会場に入れるのかや上海名物の軽食から有名な観光スポットなど、すぐにマスターして、一人前のボランティアの役割を難なくこなせるようになった。

小馬の勤務時間帯は、平日の遅番で、午後三時から夜の九時まで。一日でいちばん気温の高い時間にあたる。それでも、小馬はボランティアの仕事が楽しくて少しも疲れを感じないという。彼は『ボランティア日誌』に次のように感想を記している。

「きょうは、とても暑い。でも僕はとても気分がいい。多くの人に万博会場までの道案内をする。たいへん愉快なことだ」

「万博のボランティアはたいへん有意義なことだ。僕は、やればやるほどこの仕事が好きになる」

小馬は記者に次のように語ってくれた。

「人の手助けをすることがとても楽しい。これからも機会があれば中国に来て、もう一度ボランティアの仕事をやり、多くの人の役にたちたいと思っています」

 

「さびしいのはもう誰も何も聞いてくれないこと」

上海大学マスコミュ二ケーション学部三年生の十二人のボランティア

ボランティアエリア 万博会場アメリカ広場

七月十一日午後十一時、万博会場のアメリカ広場には十数名の「小白菜」たちが集まり軽やかな声で一緒に歌を歌っていた。あと一時間たつと、彼らは身につけている「白菜服」を脱ぎ、半月にわたったボランティア活動の任務を終えるのだ。

半月前の六月二十七日午後、上海大学からやって来た二〇〇八年春入学のマスコミュニケーション学部の十二名の学生たちが上海万博ボランティアの持ち場に正式に就いて、活動が始まった。なんと晴れがましいことだろう。彼らの誰もがボランティアの活動をどれほど名誉あるものと思ったことか。

しかし、いざ活動が始まってみると、夏の暑い盛りに、朝早くから夜遅くまで、一日に何百回も同じような応答を繰り返す毎日が続くと、ボランティアの仕事がけっして生易しいものではないことが身にしみた。リーダー格の樊丹鳳さんは「ここでの活動はのどが痛くなるだけでなく、耳も痛くなってしまいます」と語り、「広場での出し物はどれも音量いっぱいで上演しますから、質問する来場者は、私たちの耳に口を寄せるようにして大声で聞いてきます。一日の仕事が終わると、耳ものどと同じように痛みを覚えるんです」と

話してくれた。

今晩、彼らはいくつもの理由をつくってここに集まり、自分が心晴れやかにこの持ち場を離れることを証明しようとしているのだ。「いくつもの理由」とは、もう明日からは早起きせずに済む。急いで食事をとる必要もなくなる。同じような応対を何百回も繰り返さなくていい……。

劉玲さんは「いいえ、そんな理由ではありません。ここを離れるのがとっても辛いのです。もう明日からは私たちに誰も何も聞いてくれることがなくなってしまうなんて。本当にさびしい気持ちでいっぱいです」

「私は自分が役に立つ人間に変わったと自覚しています」「私たちは、ほんとうに成長したんです」「今ではもう二、三時間立ちっぱなしでも、何でもありません」「人から『ありがとう』の一言をかけてもらえれば、それでもう十分な気持ちになりました」

王虹さん、朱琳璐さん、樊丹鳳さん、兪韡嶺さんの「ボランティア所感」である。

この日の夜、記者の胸を熱くした若者たち、万博会場のアメリカ広場で半月間、その心身をささげた「小白菜」たちは上海大学からやって来た以下の十二人である。名前を記して長く記憶にとどめたく思う。

劉玲、王虹、樊丹鳳、朱琳璐、印一之、顧晨、兪霊琦、兪韡嶺、喬暁薇、周露、呂蘊蕊、凌怡。

 

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