後半を迎えた上海万博  
 

2010年上海万博日本国家館館長 江原規由

8月1日、上海万博は折り返し地点です。この日、累計来場者数は、会期6ヵ月の予想総来場者数の7千万人のちょうど半数にあたる3500万人を超えました。同日、日本館も累計入館者数が200万人に達しました。

万博の成果は、来場者数の多さにあるわけではありませんが、今後、上海万博の来場者数を超える万博は恐らく出ないでしょう。大阪万博(1970年開催)には6400万人の来場者がありましたが、この記録を破るのに実に40年の歳月が費やされています。史上最多の来場者を得たという点で、上海万博が万博史上にその名を刻まれることは確かです。

さて、万博会場には特に人気のあるパビリオンが数館あり、それが、連日40万人を超える人出を呼ぶのに一役かっているといえるでしょう。 

人気館に見るお国柄

世博毎日快報第81期(7月20日付)によると、参観前の人を対象にした調査では、行って見たい人気館3強は中国館、アメリカ館、日本館の順で、これが参観後では、中国館、サウジアラビア館、日本館の順という結果が出ています。上海万博では、多くのパビリオンで様々な技術が駆使され、参観者を楽しませてくれますが、その視点から人気4強のパビリオンを見ると、お国柄が垣間見られます。なお、以下は、筆者の感想であって客観的評価でないことをお断りしておきます。

「愛知博(モリゾウ、キッコロ)から上海博(海宝)へ」(日本館愛知県ウェークのレセプションにて)
中国館 独自技術と海外からの導入技術の共演

サウジアラビア館 海外からの導入(購入)技術

日本館 100%自前技術

米国館 技術大国にしては最先端技術が不在

4強の各パビリオンに共通するのが、運営・事務やアテンド業務などの中国人材との緊密な協力関係でしょう。中国人スタッフあっての4強です。日本館の人気の秘訣も中国人スタッフの貢献によるところが大きいわけです。

ベスト・シティの条件

万博の歴史を紐解くと、万博の開催は、世界の経済・文化・社会的発展の方向を指し示す羅針盤ともいえる国際的イベントであったといえます。

先日、日本館を参観したあるゲストから、帰り際、「上海万博はどんな成果を残すと思いますか」と、聞かれました。私は、上海万博のテーマである「より良い都市、より良い生活」のための具体的で分かりやすいメッセージが上海から中国各地へ、そして世界に発信されることが何より重要と思うが、閉館後の会場跡地がどう利用されるのかにも注目したいと答えました。「終わり良ければすべて良し」ということわざがありますが、因みに、5年前の愛知万博では、「愛・地球博」をテーマに、地球環境の保全が前面に押し出されており、閉幕後、会場は建設前の元の姿のままに戻されました。これは愛知万博が閉幕後も世界から評価されている大きな要因の一つでもあります。7月31日から日本館のイベントステージで、「愛知県ウェーク」が開催されましたが、前日のレセプションで挨拶に立った神田知事は、「愛知万博の成功は、上海万博が成功してはじめて達成されるであろう」と発言されていました。

上海には、会期後半3ヵ月間に世界の「より良い都市、より良い生活」を彷彿とさせてくれる会場跡地の再利用計画を練り上げて、世界のベスト・シティに名を連ねてほしいものです。

 

人民中国インターネット版 2010年8月20日

 

 

 
 
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