活躍する日本人 万博に思い乗せて  
 

岡田紘幸=文・写真

上海に滞在していると、思わぬ時によき出会いがある。愛知万博に出店していたアメリカンファーストフード店「ルート66」との出会いも、そのひとつだ。今は上海万博会場内に出店していること、皆さんご存知だろうか。

出会いは6月のある日本人同士の交流会。そこで私は「ルート66」の存在を知ることになった。何度か店に足を運ぶうち、「愛知から上海へ」の経緯を聞くことができ、とても興味深かったので紹介したい。

出会うことができたのは、オーナーのスティール真知子さん。アメリカ人と結婚した日本人だ。店名の「ルート66」は、アメリカ大陸を横断する最初につくられた国道の一つ。20世紀中盤のアメリカの映画や音楽などポップ・カルチャーの中にもたびたび登場し、多くの人に愛された道だ。店内はそんな雰囲気の漂う、アメリカ特有のレストラン「ダイナー」の基本的なカラーでまとめている。「当時のアメリカそのままを持ってきた」と語る真知子さん。

アメリカに関心を抱いたのは、1960年代にはやったアメリカ音楽が大好きになった中学時代から。20代前半の頃に開催された大阪万博で、アメリカ館のガイドをしていた男性と出会う。その方が外交官をしていた今の旦那さん。結婚後、真知子さんは貿易の仕事をしながら、外交官夫人として旦那さんの勤務に伴い、南太平洋、メキシコ、中国の北京、台湾など世界の各地で暮らした。

万博とのかかわりは、2004年の静岡「花の博覧会」だった。仕事のつながりでレストラン出店の話が舞い込み、自分の好きなアメリカのホットドッグなどのファーストフードを味に一工夫して販売。これがイベントで評判を呼び、翌年の愛知万博でも厳しい審査を通過、出店が決まり、万博会場では大忙しの毎日が続いた。「その頃は上海万博に出店することなど、考えてもいなかった」と当時を振り返る。

2007年に、上海万博出店の話が浮上。中国での店舗展開にはさまざまな困難がともなうことを認識しつつ、愛知万博での忙しくも楽しかった思い出が忘れられず、出店を決意した。思いはひとつ。本場アメリカのダイナーを忠実に再現した店で、本場のハンバーガーやホットドッグを、中国の人たちにも食べてもらうこと。

真知子さんの印象的な言葉は「アイデア勝負」だ。より多くのお客さまに喜んでもらえるよう、工夫に時間は惜しまない。味以外にも、店の目玉のひとつは、不定期で開催する本場ラスベガスのエンターテイナー歌謡ショー。エルビス・プレスリーなど、60年代の音楽を中心に提供している。こだわりは、歌手は歌うだけではなく、ウエイターのサービスも行うことだ。このスタイルのアメリカンダイナーの店は、中国では初めてだという。

万博閉幕まで残り3カ月を切った。これからも「ルート66」から目が離せない。万博会場にいらっしゃるようなら、ぜひ一度、足を運んでいただきたい。

夏の万博は、話題が盛りだくさんだ。愛知県ウィーク、名古屋市ウィークなどのイベントもあって、私の地元から多くの人たちが万博会場に見え、活躍している。その中には、行政とは別に自分たちで数年前から上海への道を開き、万博のステージを飾る団体がある。

愛知万博でも演奏した経験を持ち、8月20日にアジア広場で成果を披露するのが、愛知県瀬戸市の和太鼓愛好家たちだ。「瀬戸市和太鼓連盟」で、日本の伝統文化である和太鼓演奏を通して、瀬戸の発展を願っている団体。会長の加藤国弘さんは、「演奏を通じて友好親善交流ができれば」と意気込む。今は最後の合同練習に余念がない。

それと、このコーナーでも何度かお伝えしてきた日本人の上海万博ボランティアたちがついに会場にやってきたことだ。その様子は、後日また。(つづく)

「ルート66」

オススメ商品の巨大ホットドッグを手にPRするスティール真知子さん。「万博会場内は日本語の通じるレストランがない分、当店は私を含め日本人スタッフや日本語のわかる中国人がいるので、気軽に寄ってください」とアピール。

店舗場所 万博軸(A・Bゾーン間)地下B1-046

「ROUTE66(ルート66)」(66公路美国餐庁)

 

日本人ボランティア

日本人万博ボランティアの初陣(第1班)36人は、現場研修を経て、会場内での案内活動をスタートさせた。大学生や20代の若者を中心に最年少は20歳、最高齢は66歳。

 

人民中国インターネット版 2010年8月23日

 

 

 

 
 
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