「西部大開発」取材チーム=文
1999年、中国政府は「西部大開発」の発展戦略を提起した。そして2000年、インフラを建設し、民生問題を改善し、経済を発展させ、生態系と環境を保護するなどの面に力を集中する巨大プロジェクトが、中国の国土の3分の2を占める人口3億人の西部の12の省、直轄市、自治区で幕を開けた。
西部大開発はすでに十年が経過した。西部地区の経済にどんな変化が起こったのか、人々の生活は果たして向上したか、生態系や環境はきちんと保護されているか……こうした問題意識を持って、本誌の記者たちは四川省や広西チワン族自治区などの現場を回った。
2000年から始動
中国の西部地区は、重慶直轄市と四川、貴州、雲南、陝西、甘粛、青海の各省、チベット、寧夏回族、新疆ウイグル、内蒙古、広西チワン族の各自治区を含んでいる。面積は全国土の71.5%を占めている。2008年の時点で人口は全国の27.9%を占めているが、地区内のGDPは全国の17.8%しか占めていない。
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貴州省の普安県内を走る鎮勝高速道路の白水沖橋。橋の全長は1400メートル、2007年12月に完成した(新華社) |
西部地区はエネルギー、鉱物資源の埋蔵量が豊富で、太陽熱利用の条件が整っており、生物資源は多種多様であり、文化や観光の資源も豊かだ。また西部地区は陸上の国境線が全国の80%を占めており、中国とアジア、欧州の国々とを結ぶ重要なルートとなっている。中国の55の少数民族のうち、51が西部地区に集中して住むか、分散して住んでいる。
20世紀末、「改革・開放」政策によって中国の東部地区は比較的速く発展することができた。しかし西部地区の経済発展は相対的に遅れ、一人当たりの国内総生産(GDP)は東部地区の40%にも達していなかった。 しかし東部地区は、西部地区の豊富な資源と巨大な市場の潜在力を必要としている。さらに重要なのは、中国が十分な経済的実力を備え、中西部地区に支援できるようになったことである。
1999年6月、中国政府は、時機が熟したとして、西部大開発の重大戦略を実施するという政策決定を行った。そして2000年1月、全面的に西部大開発の戦略が始動した。
西部、中部、東部がともに受益
この十年来、中国政府と東部、中部地区の大きな支援の下、西部地区の人々は苦しさに耐えながら創業した。西部地区の経済・社会の発展は速く、都市と農村の姿の変化は大きく、人々の実際の収益は多くなった。
西部地区は東部地区や中部地区に大量のエネルギー、鉱産物、農産物などを提供している。西部地区の重点プロジェクトに必要な設備、資材、技術、人材は、東部地区や中部地区の市場を拡大した。西部地区が開発し、実施した「西気東輸」(西の天然ガスを東へ送る)「西電東送」(西の電力を東に送る)「退耕還林」(耕地を林に戻す)「自然林の保護」「砂嵐発生源の整備」などの多くの重点プロジェクトによって東部地区や中部地区は直接、受益した。
東西の協力の拡大によって、東部地区や中部地区の企業が続々、西へ向かい、十年間で計二十数万の東部企業が西部地区に投資し、創業した。その投資総額は2兆2000億元を超す。
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