コペンハーゲン合意

 コペンハーゲンで行われた2009年国連気候変動会議に出席した各国元首、首脳、閣僚、その他の首席代表は、気候変動枠組条約第2条に記載された究極の目標を追求し、条約の諸原則と条項に導かれ、2つの特別作業部会の作業結果に留意し、長期協力行動のための特別作業部会(Ad hoc Working Group on Long-term cooperative action)に関する決定x/CP.15および、附属書Iに掲げる締約国の京都議定書のもとでのさらなる約束に関する特別作業部会に作業の続行を求める決定x/CMP.5を承認し、即座に運用される本コペンハーゲン合意に合意した。

 1、我々は、気候変動が現代における最大の課題の一つだと強調する。共通だが差異のある責任という原則、そして各国の能力に即して気候変動に迅速に対処する強い政治的意志を強調する。大気中の温室効果ガス濃度を、気候システムに危険で人為的な影響を避ける水準で安定化するという気候変動枠組条約の究極の目標を達成するため我々は、地球の気温上昇は2度を上回るべきではないとの科学的な見解を認識した上で、公平の原則と持続可能な発展の文脈において、気候変動に対処する長期的な協調行動を強化する。気候変動の重大な影響と共に、対策が温暖化被害にさらされている国々に及ぼす潜在的な効果を認識する。国際支援を含めた包括的な適応措置の事業を手がける必要性を強調する。

 2、我々は、世界規模で排出量を大幅に削減する必要性で合意する。これは科学に基づくもので、国連気候変動に関する政府間パネル第4次報告書が記述したように、世界の気温の上昇を2度以下にとどめるためである。科学に準じ、公平の原則に基づいてこの目的の達成に向けて行動することでも合意する。我々は、地球規模と各国ごとの排出量が出来る限り早く減少に転じるよう協力しなければならない。同時に、途上国では排出量が減少に転じるのにより時間がかかることを認識し、社会・経済発展と貧困撲滅こそが途上国の優先課題であり、低排出の発展戦略が持続可能な開発と切り離せないことにも留意する。

 3、気候変動の影響への適応措置と、対策の潜在的な影響は、すべての国が直面する課題である。適応措置に関するより大規模な行動と国際協力が気候変動枠組条約の履行を確実にするために必要であり、特に温暖化の被害にさらされた国や、後発途上国、小さな島嶼国、アフリカ諸国における脆弱性を減らし、回復力を培うための適応措置を実施することが求められる。先進国は、途上国における適応措置の実行を支援するため、適切で予測可能、かつ持続的な財政支援と技術・能力開発を提供しなければならない。

 4、気候変動枠組条約の附属書I締約国(先進国)は、2010年1月31日までに別表1の書式で2020年時点の数量化された排出目標を個別にあるいは共同で実行することを約束する。これにより京都議定書締約国である先進国は、議定書で始まった排出量削減をさらに強化する。先進国による排出削減と財政支援の実績は、現存の基準および締約国が新たに採択する基準に基づき、測定・報告・検証される。これにより削減目標と財政支援の説明は、厳格で確実、透明なものとなる。

 5、条約の非附属書I国(途上国)は、今後実施する温室効果ガスの削減行動を2010年1月31日までに別表2に登録する。削減行動は条約4条1項と同7項に基づき、持続可能な開発に適ったものとする。後発開発途上国(LDC)や発展途上の島嶼国は、支援を受けながら自発的な削減行動に取り組むことができる。非附属書国I国は今後取り組む削減行動を、COPで採択される指針に基づき、条約12条1bに基づく国別報告書を通じて2年ごとに報告する。国別報告書やそれ以外での方法で事務局に報告される削減行動は別表2のリストに記載する。非附属書I国が実施する削減行動に対しては、国内で定める測定、報告、検証を行うものとし、国別報告書を通じて2年ごとに報告される。非附属書I国は、自国の削減行動の実施状況を国別報告書を通じて報告する。報告は、国家主権の尊重を保証する明瞭な指針の下で行われる国際的な協議と分析の結果を伴ったものとする。国際的な支援を受けて国内で行う国内削減行動は、関連の技術、資金や能力開発の支援内容と共に登録簿に記載される。支援を受けて行われる削減行動は、別表2に記載される。支援を受けて行われる削減行動は、締約国会議で採択された指針に則って、国際的な測定、報告、検証に付される。

 6、我々は、森林減少や森林の劣化を起因とする温室効果ガスを削減することの重要な役割と、森林による温室効果ガス吸収を増やす必要性を認識する。森林の減少や劣化を原因とする温室効果ガスの排出の削減(REDDプラス)を含むメカニズムの速やかな構築を通し、先進国の資金の活用を促す行動を促進する必要性に同意する。

 7、我々は、市場を活用する方法を含めて、削除の費用効果を高めて削減行動を促進する様々な取り組みを追究する。途上国、とりわけ排出量の少ない国は引き続き抑えていけるよう動機付けを与えられるべきである。

 8、途上国には、増額された新規で、予測可能で、適切な財政支援を提供すると共に、資金の利用度も高めなければならない。条約の関連事項に従って、森林破壊を防ぐ取り組みREDDプラスや、適応措置、技術革新と移転、能力強化への実質的な財政支援といった措置を通じて、排出削減に向けた行動を可能にし、支持する。先進国全体で、2010~2012年の間に新たな追加援助として計300億ドルの支援を行うことを約束する。適応措置と削減との均衡を保って配分し、これには森林管理や国際機関を通じた新たな追加投資も含まれる。適応措置への財政支援では、後発途上国や小さな島嶼国、アフリカ諸国など最も被害にさらされた国を優先する。意義ある削減への取り組みと透明性のある実施に向け、先進国は2020年までに1000億ドルを拠出し、途上国の取り組みを支援する。この資金は、民間や公的機関、2国間や多国間参加など代替的な財源を含め、幅広く集められる。適応措置に向けた新たな多国間参加による財政支援は、先進国と途上国が等しく代表する運営対の元、効果的で効率的な資金管理を通じて配分される。

 9、閣僚級会合は、この目標の達成に向け、代替的な財源を含む可能な歳入という貢献を研究する目的で、締約国会議に対する責任として設立される。

 10、我々は、コペンハーゲン環境基金を、途上国に対するREDDプラスや適応措置、能力強化、技術革新と移転に関連した事業や計画、政策その他の活動を支援する条約上の金融メカニズムの実行組織として設立することを決定した。

 11、技術の移転と革新における取り組みを強化するために、各国主導のアプローチと国の状況、優先順位に基づいて導かれる適応措置と削減の行動を支持し、技術革新と移転を加速させるため、技術メカニズムの設立も決定した。

 12、条約の最終目標を含め、この合意の履行状況の評価を、2015年までに行うよう求める。これは長期目標強化の検討を含む。

 

 
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