中華人民共和国政府と日本国政府との気候変動に関する共同声明 |
1、日本国政府及び中華人民共和国政府(以下「双方」という。)は、気候変動は人類が直面する共通の脅威であり、手を携えて努力し、協力して対処する必要があると認識した。 2、双方は、「気候変動に関する国際連合枠組条約」及び「京都議定書」の目標及び原則の約束を確認し、双方が2007年4月に署名した「日本国政府及び中華人民共和国政府による環境保護協力の一層の強化に関する共同声明」を重ねて表明すると共に、この基礎に立ち、両国が気候変動分野に対処する為の協力を一層強化し、対話と交流を深め、実務的な協力を推進し、両国の戦略的互恵関係を実際の行動へと移すべく、気候変動におけるパートナーシップ関係を樹立することとした。 3、双方は、「気候変動に関する国際連合枠組条約」及びその「京都議定書」は、気候変動に対処する当面の国際協力の適切かつ有効な枠組みであることを確認した。双方は共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力に基づき、先進国が率先して温室効果ガスの排出を削減し、また途上国に資金提供や技術移転を行うことで、条約における約束の履行を可能にしかつ支持することを重ねて表明した。 4、双方は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の評価報告を極めて重視し、「気候変動に関する国際連合枠組条約」第二条に規定される、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させるとの究極的な目的を再確認した。 日本側は、上述の目的の実現のためには、世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年には少なくとも半減しなければならないとの見解を示した。中国側は、日本の見解を留意し、各国と共に、気候変動枠組条約の究極的な目的を実現させる方法及び措置を検討していくことを表明した。 5、日本側は、「京都議定書目標達成計画」の下、「京都議定書」が提起した2008年~2012年に温室効果ガスの排出を6%削減する指標を実現し、2013年以降も引き続き温室効果ガスの排出を抑制する国別総量目標を担う旨改めて表明した。中国側は、持続可能な発展の枠組みの下、気候変動に積極的に対処し、「中国気候変動国家計画」を努力して実施し、世界の気候を保護するための新たな貢献を行う。これに対し、双方は互いに評価し合った。 6、双方は、「気候変動に関する国際連合枠組条約」及びその「京都議定書」の枠組みの下で「共通に有しているが差異のある責任」の原則に基づき、国際協力を通じて、気候変動問題を解決するために努力する政治的決意を重ねて表明した。双方は、バリ・ロードマップで確認した、現在、2012年まで及び2013年以降の実効的なプロセス及び枠組みを強化する交渉に積極的に参加することで、2009年末コペンハーゲンで行われる気候変動枠組条約および京都議定書の締約国会議で結果が出せるようにするとの共通認識に達した。 7、日本側は、セクター別アプローチが国別総量目標を確定するのに重要な意義を有している旨表明した。中国側は、セクター別アプローチが排出削減指標又は行動を実施する重要な手段であると表明した。双方は、セクター別アプローチの役割につき更に検討を進めることを表明した。 8、双方は、汚染防止及び気候変動に対処する措置がコベネフィットを有し、相互に補完し合い、持続可能な発展の促進、エコ文明の構築に重要な意義を有しているとの見解で一致した。双方は、この分野における研究及び協力を強化することとした。 9、双方は、科学技術が気候変動に対処する方面で重要な作用を発揮しており、両国が気候変動への対処の科学研究や、緩和や適応のための技術開発及び移転に関する実務的な協力を強化するとの認識に至った。双方は以下の重点分野における技術協力を行うこととした。 (1)省エネルギー、エネルギー効率の向上、新エネルギー及び再生可能エネルギー (2)クリーン・コール・テクノロジー(石炭火力発電所の設備改善、効率化等) (3)メタンの回収と利用 (4)二酸化炭素回収・貯蔵(CCS) (5)気候変動への適応 10、双方は、クリーン開発メカニズムのプロジェクトにおける互恵協力を継続して強化し、双方の企業が積極的に参画することを奨励する。双方は、クリーン開発メカニズムを如何に改善し整備するか検討していく。 11、双方は、下記の措置を通じて気候変動への適応に関する協力を強化する。 (1)気候変動のマイナス影響と脆弱性に関する研究と分析 (2)気候変動の社会経済影響とコストに関する研究と分析 (3)科学、技術及び機構における気候変動及びその影響の予測能力の強化 (4)気候変動に適応する技術や措置の研究開発 (5)持続可能な発展戦略を制定し実施する際の、脆弱性の低減とニーズへの適応という意識の向上 12、双方は、キャパシティビルディングの強化、国民意識の向上、人的交流及び研修等分野につき、協力を行う。 13、双方は、民間セクター及び金融機関が役割を発揮するよう奨励することを含め、気候変動に対処するために如何により多くの資金を投入するかという問題について共に検討する。中国側は、日本側が資金を提供して途上国における気候変動への対処のための国際協力を「クールアースパートナーシップ」の下で実施していることを積極的に評価した。日本側は、中国側が気候変動における対応のためにとってきた政策及び措置を積極的に評価し、中国側が気候変動に対処する関連活動、とりわけ、「中国気候変動国家計画」の実施の促進について、支援する用意があることを表明した。 14、双方は、中華人民共和国国家発展改革委員会と日本側の関連する省庁が、本共同声明の実施に責任を負うこととした。 本共同声明は双方の関係部門での更なる協議を通じて、具体的に実施していくこととした。 15、本共同声明は2008年5月7日東京において署名された。
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