中国国際問題研究所 王瑞彬
気候変動に関する交渉の難局は、以下の三つの現実背景に依るものである。
一、昨年のコペンハーゲン大会は、“後遺症”を残した。「コペンハーゲン協議」の内容はわずか12章であるが、先進国の2020年までの中期温室効果ガス削減目標と2050年までの長期温室効果ガス削減目標について、明確にはしていない。途上国がもっとも注視している資金援助と技術移転の問題について、協議規定はかなりあいまいなものであり、欧州連盟と日本のみが提供できる資金の額を具体的に提出している。コペンハーゲン会議が積極的な作用があったことは疑いもないが、協議の内容からすれば、失望されるものである。
二、コペンハーゲン会議での鋭い対立は、途上国と先進国の間の相互信頼の基礎を弱め、交渉の障害、制約となるマイナス要素となっている。現実に則し、難度の低いところからとりかかり、資金、森林、技術転移など、各方面の共同認識が比較的集中している領域において、先に突破することは、カンクン会議における実質的で成果をもたらす理性的な選択である。
三、グローバル規模の経済回復はいまだ緩慢なものであり、交渉の主役たちは気候変動において、よりレベルの高い承諾をなし得ず、それが気候変動に関する交渉を滞らせ、先延ばしにしている。例えば、交渉において焦点となる途上国国家への資金援助問題について、グローバル規模の回復の力が及ばないため、先進国の態度は、「一歩歩いては一歩様子をみる」ものとなっている。
人民中国インターネット版 2010年12月2日
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