メキシコのカンクンで国連気候変動会議が幕を開け、1週間が経ちました。5日は休会でしたが、各国の環境相がこれから相次いでカンクン入りします。4日、「国連気候変動枠組み条約」の作業チームは議長テキストを採択しましたが、これに対して各国の代表らは反対の意を示しています。一方、中国代表は「『京都議定書』の継続は1つの原則の問題であり、妥協はできない」と主張しています。
カンクン会議が開催されて1週間、各国は「国連気候変動枠組み条約」と「京都議定書」の関連実務をめぐって交渉しました。4日の午後に行われた締約国全体会議で、メキシコの外相を務めるエスピノサ議長は、「『メキシコは秘密テキストを用意している』といううわさは根拠のないものだ」と述べた上で、「『国連気候変動枠組み条約』に基づいて設けた作業チームはすでに議長テキストを作成している。これは、交渉のための基本的なテキストではなく、食い違いの大きい各国の意見を書き入れたものである」と強調しました。
しかし、このようなテキストに対しても各国の意見は様々です。米州ボリバル代替統合構想(ALBA)は「一部の締約国が申し出た意見は表されていないのではないか」と疑問を呈し、締約国間の交渉を早期に開催するよう呼びかけました。小島嶼国連合(AOSIS)や後発発展途上国などは、「気候変動への対応力の弱い国々を、より重視するとともに、テキストで無視された一部の問題を重視すべきだ」としています。77カ国グループと中国の代表は、会議の進展を認めると同時に、「テキストの内容に対して詳しく検討する必要があり、評価は控える」と慎重な姿勢を示しています。アメリカの団長は「新しいテキストは不完全で、バランスに欠けている。特に『透明度』に関わる詳細は不十分だ」と不満を示しました。一方、アナリストは「このテキストは全体的に現在の交渉の進展状況を反映しており、積極的な面がある。しかし、各国の意見の食い違いは依然避けられない」とみています。
ところで、「京都議定書」の行方も注目されています。日本、ロシア、カナダを含む一部の先進国は、第2の約束期間は受け入れられないと表明しました。日本は「京都議定書」の延長に反対を表明し、カンクン会議に影を落としています。
中国代表団の蘇偉副団長は「小さい問題と原則ではない問題に関しては各国が協力を強化すべきだが、原則の問題については妥協を許さない。例えば『京都議定書』の継続という原則では妥協できない」とした上で、「現在、一部の国が明確に反対しているが、多くの国、とりわけ多くの発展途上国の立場は一致している。それは継続を堅持することだ」と表明しました。さらに、中国の立場について「1つの先進国の第2の約束期間の排出量削減目標を明確にすることは、カンクン会議における総括的な合意達成の重要な基盤である。さもなければ、総括的な合意達成は難しくなる」とした上で、「交渉は難しいが、各国が真摯な政治的願望を持っていれば、最終的に、積極的、有意義な、『バリロードマップ』の各要素を反映した成果があげられると信じている」と中国政府の立場を表明しました。最後に、「カンクン会議はすべての問題を解決することはできない。しかし、一部の問題で一歩前進して、次の段階の交渉のために良好な礎を作ることができる」との見解を示しました。
中国国際放送局日本語部より 2010年12月7日
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