日本は「京都議定書」を葬れるか?

第16回気候変動枠組み条約締約国会議および第6回京都議定書締約国会合(COP16/CMP6)がメキシコ・カンクンで開催されている。「京都議定書」第1約束期間(~2012年)以降の温室効果ガス排出削減目標を拒むとする日本代表の強硬な態度に、発展途上国が反発的な意見を出している。日本は1997年に京都市で開催された第3回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP3)の議長国である。その会議で採択・締結されたのが「京都議定書」だ。だが今になって「京都議定書」目標を放棄しようとしている。その背景を見てみよう。

カンクンでのCOP16会議が開催される前、日本の産業界による何度かの「京都議定書延長反対」の訴えが出ている。

11月16日、日本経済団体連合会が公開した意見書には、「議定書がひとたび延長されれば、(京都議定書で削減義務を負わない)米国や中国などの新興国が参加するモメンタムは著しく損われる」と述べられている。

11月24日、日本自動車工業会、日本鉄鋼連盟など9つの業界団体が共同会見を開き、「COP16等に向けた産業界の提言」が発表された。それによると、京都議定書には主要排出国である米国や中国が加わっていないことから「実効性の乏しい枠組み」と指摘し、議定書の延長は「産業の国際的なイコールフッティング(競争条件の均等化)を妨げる」ものであり、「日本の産業の国際競争力低下を招く」としている。また、日本政府の「地球温暖化対策基本法案」に対し、「温室効果ガスの排出量を2020年に1990年比25%削減する」目標について、国民生活および雇用にどう影響するか「十分な判断材料を示すべき」と訴えている。

実は、昨年12月に開催されたデンマーク・コペンハーゲン(COP16)会議の前にはすでに、日本の主要業界団体が同様の提言を公表しており、日本が「京都議定書」の単純延長することへの反対の意を示している。その原因は、日本の産業界がそれぞれの経済的利益を理由に、「京都議定書」締結国の先進国に対し要求される温室効果ガス削減目標の任務の負いたくなかったことにある。日本経済団体連合会の米倉弘昌会長は「日本企業にとって大きなコスト負担になり、国際競争力に影響を与える」と発言している。

12月3日、「地球温暖化対策基本法案」の審議が通過しないまま、臨時国会は閉会した。これは「2020年までに温室効果ガス排出量を1990年比で25%削減する」という法案の中に盛り込まれた目標が法的拘束力を持たないことを示している。

松本龍環境相はその日、日本は「京都議定書」の脱退をするつもりはないことを改めて強調しているが、日本のマスコミは「日本は議定書を脱退し」「先進国のみに義務付けられた二酸化炭素(CO2)削減中期目標から逃れようとしている」と評価している。

温室効果ガス排出削減において、日本が気候変動枠組み条約の締約国の中でも、最も大きな義務を担っていることは周知の事実である。やはり、日本のマスコミが言うように、「京都議定書」締結時の議長国である日本が、またそれを葬ろうとしていることは間違いなさそうである。

だが、これは日本だけの悲劇に留まらないはずである。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月9日

 

 
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