儒家思想と「和」の精神

長春理工大学 孟昕

中国と日本は隣国なので、唐の前から、両国はもうさまざまな面で交流を始めています。そして、自分の国の発展のために、お互いに勉強し合いました。だから、中国と日本の文化のある面は似ています。そして、違う面もあります。これから、儒家思想と「和」の精神の違いについて話したいと思います。

儒家思想は中国伝統文化の本質的なものなので、世界に長い間影響を及ぼしています。儒教の特徴は簡単に言えば、「修己治人」あるいは、『大学』にある「修身、斉家、治国、平天下」であり、その教えは「経世済民」です。儒家の祖は孔子です。孔子はさまざまな思想を言っていますが、もっとも重要な中心は「仁」です。「仁」は「他人に対する親愛の情、優しさ」を意味しており、儒教で最も重要な「五常の徳」の一つです。たとえば、「己が欲せざる事を人にするなかれ」の意味は、自分はある事を好きではないなら、他人に無理強いしてはいけないということです。自分がやられていやなことは、他人に無理にしないということです。

儒家思想は中国から朝鮮半島を通じて日本に伝わりました。513年、百済から五経博士が来日してからのことです。儒家の典籍は中国の漢字を学んで帰ってきてきた日本人によって読まれました。日本人は中国の漢字を学ぶ中で、中国の儒学に触れました。 

日本人の精神は、「和」の精神と言われます。日本の歴史に一貫して流れる精神は「和」です。日本では、人と人、自然と人、人間と社会の調和を大切にします。604年に聖徳太子が制定した十七条憲法の第1条に「和を以て貴しとなす」という条文があります。ここに、「和」の精神が明確に出ています。「和」とは、和みであり、親しみであり、穏やかさであり、助け合うことであり、他人を思いやることです。 ところがこれは「論語」の中の孔子の言葉です。この「和」の精神は、中国から伝来していた儒教との融合から生まれた思想ですが、もともとは「礼の用は和を貴しと為す」というのが原点です。その「論語」の中で孔子は特に「礼」を重視しています。身分意識を考えずに、人間は礼の大切さを身に付けなければならないと説いています。しかし、それだけでは中国で人間関係はうまくきません。「有子日く、礼で大事なことは、和を貴ぶことである。(有子曰、礼之用和為貴)」と「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず(君子和而不同、小人同而不和)」は「和」の意味を表しています。つまり孔子の言う「和」は相手に簡単に合わせて妥協する事ではなく、相手をよく理解し、互いの相違を認め合った上で協調するということです。

しかし、今の「和」の精神は時間の移り変わりに従って、内容も変わってきています。明治維新の時に、西洋文化を吸収して、日本の精神「和」の中の儒家の面は少しずつ消失していきました。

「和」の精神は、日本の社会の至る所で見ることができます。たとえば、スポーツです。勝利を収めるためには、一人の力だけでは足りません。みんな一緒に協力して頑張る必要があります。つまり、チームワークです。各自が才能を十分に発揮して、一丸となって戦えば、想像できないほどの大きい力が出ます。これが「和」です。職場においても同じです。どんな課題でも完全に仕上げるためには、「和」が大事です。みんなが心を合わせて考えて、互いを信じて取り組んめば、不可能だと思われる課題でも、やり遂げることができます。みんなが協力して行えば、考えられないような力が生まれます。

中国と日本は長い交流の歴史があります。ある日本文化は中国文化の影響を受けています。そして、今中国文化は日本文化に大きい影響を受けています。似ている面があるし、違う面もあります。しかし、文化に優劣はつけられないので、お互いに相手の文化の長所を吸収して、短所を捨てていけば、自国文化はこれからも続いくと思います。

評:「和」に関する体験談がほしい。日本語はまずまずのレベル。

 

 

 
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