今年の「両大会」、注目される5大関心事

 

注目点4―公共財と公的サービスの整備による国民幸福感の向上

今年春以降、中国各地で人民代表大会や政治協商会議が開催され、地元の発展に向けた計画が相次いで発表されることとなる。こうした中、「幸福感」や「幸福指数」といったワードが注目され、地方の発展における新たな目標となっている。

これについて、全国人民代表大会の辜勝阻代表は「中国では国民の需要が日々高まっているのに対し、公共財や公的サービスが立ち遅れているという問題が深刻になっている」と指摘した。また、「これまで、経済の成長至上主義的なやり方によって、資源配置の不均衡が生じ、公共資源の供給不足をもたらした」との見方を示した。

辜代表によると、中国では教育、医療、社会保障に充当する支出はこれら3項目を合計しても政府支出のわずか29.2%のみに留まっており、同等の発展レベルの諸外国に比べて約20ポイント下回る。医療衛生サービスを例とすると、「看病難、看病貴(診察を受けるのが難しく、治療費も高い)」という問題がとくに深刻であり、これらの問題は、医療資源の配置が不均衡であることや医療サービスの公益性の不足などが原因と見られる。

統計では、中国の医療資源の70%が都市部に集中し、さらに都市部では、医療資源の80%が大・中規模の病院に集まっている。

注目点5-文化産業の発展とソフトパワーの強化

中国文化ソフトパワー研究センターなど複数の団体がこのほど、共同で発表した研究報告によると、中国の文化産業が世界文化市場にしめるシェアは4%にも及んでいない。改革開放後の30年において、中国のハードパワーは勢い良く伸びており、国内総生産(GDP)は世界二位、外貨準備高は世界一に躍進したものの、文化産業に代表されるソフトパワーとの間にはまだ大きな開きがある。

中国の民主党派のひとつである「民進中央」は関連調査において、中国の文化産業の発展に潜んでいる問題点として次の四点を指摘した。

(1)伝統文化への認識が曖昧で、儒教の優れた道徳文化が少しずつ失われており、社会の道徳基準から手本が失われつつある。

(2)文化は経済生産力の付属品であるとみなされており、経済発展のための文化発揚は重視されているものの、人格形成に対する文化の影響力が無視されている。

(3)主流文化が周縁化されつつあり、市場の力が過分に強調されているため、主流文化及び関連科学に対する支持が不足している。

(4)文化の発展と新興メディアとの適正な関係がまだ構築されていない。

なお、もう一つの民主党派・「民建中央」も全国政治協商会議に「税収政策の整備をはかって文化産業の発展を促そう」と題した議題を提起する予定だ。

調査によると、ここ数年、中国の文化産業に大きな発展が見られ、国民経済への寄与度も少しずつ高まっている。2009年、中国は文化産業による付加価値8400億元を実現しており、同期のGDP規模の2.5%を占めるようになった。しかし、基幹産業として然るべき割合とはまだ開きがあることから、今後も経済政策において国の一層の援助が必要であると見られている。

 

「中国国際放送局 日本語版」より2011年2月27日

 

 

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