全国両会(全人代と全国政協の両会議)が3月初めに北京で開幕する。人民網は1月末から「2011年両会調査:あなたの10大関心事」を開始。2月22日午後10時までに10万8420人から回答が寄せられ、18の候補の中から「社会保障」「司法の公正」「個人所得」「反腐倡廉(汚職を取り締まり、クリーンな政治を推進)」「環境汚染」「住宅価格抑制」「医療改革」「教育改革」「食品の安全」「物価抑制」が選ばれた。
■民生関連が半数以上
社会保障に加え、個人所得、住宅価格抑制、医療改革、物価抑制、食品の安全といった民生関連の問題が「10大関心事」に選ばれた。半数以上が民生関連というわけだ。このうち「個人所得」は4位に入った。
「個人所得」については2万596人が回答。74%が現在の所得水準について「不満」(33%)または「とても不満」(41%)と回答した。所得分配において解決の急がれる問題としては、半数以上(56%)が「職業間の著しい所得格差」を、約半数(48%)が「外部と内部の職員が同じ仕事でも報酬が異なること」を挙げた。
近年各地方政府は個人所得を高めるため最低賃金の調整に取り組んでいる。昨年は30省(自治区・直轄市)が最低賃金基準を調整。平均で月22.8%アップさせた。上げ幅が最も高かったのは河南省の37.5%だ。昨年12月の中央経済工作会議では「所得分配改革案を策定し、所得格差の拡大傾向の転換に努めなければならない」とされた。
5位には「住宅価格抑制」が入っている。1万993人中、77%が「今年住宅を購入したいが購入できない」と回答、半数以上(54%)が「今年も住宅価格は上昇するが、上昇幅は大きくない」との考えを示し、44%が「国の抑制政策によって住宅価格は『合理的な上昇を維持している』」と回答した。
7位には「医療改革」が入っている。72%が「医療費は高い」と回答、46%が「医療改革には医薬品の収益で病院経営を維持する体制の打破が必要」との考えを示した。医療改革は昨年は8位、一昨年は3位に入った。中国は09年から「医薬衛生制度5項目重点改革3年任務」に着手しており、今年は難関攻略の年となる。
8位には「物価抑制」、9位には「食品の安全」が入っている。回答者の92%が食品価格の上昇に困り、70%が物価上昇に対処するため昇給を望んでいる。79%が食品や薬品の安全上の問題が多発する根本的原因を政策・監督の問題に求めている。
■「反腐倡廉」が上位に
3位には「反腐倡廉」が入っている。02年以降の調査で、この話題は常に上位10位に入り、02年、03年、04年、06年、09年には1位に選ばれている。今年の調査で2位に選ばれた「司法の公正」も反腐倡廉と関係する。腐敗は不公正な司法を招く重要な原因と見られているのだ。
中国政府は反腐倡廉を非常に重視している。最近、劉志軍鉄道部長や羅蔭国・前茂名市党委員会書記といった高官を解任したことに、国内外は汚職取り締まりへの中国政府の決意と気迫を見た。1月10日に胡錦濤総書記は「汚職に断固反対し、汚職分子を厳罰に処し、党風廉政建設(クリーンな政治を行う党風樹立)と反汚職闘争の具体的成果によって人々の信頼を得る」と強調した。
■「環境汚染」が初の入選
6位には「環境汚染」が入っている。「環境汚染」は今回初めて候補に上がり、かつ10以内に入った。昨年は「低炭素経済」が15位に入り、09年には「環境保護問題」が候補に上がった。
回答者の95%が中国の環境汚染問題は深刻だと考えている。汚染の主な原因としては、回答者の4分の3が「地方保護主義が盛んで、地方政府が経済効率のために環境を犠牲にしていること」を挙げた。現在検討中の環境税導入については半数近く(47%)が支持し、環境保護に有益との考えを示している。
「人民網日本語版」2011年2月24日
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