若者世代はとにかく忙しい
任さんはすでに十数年、北京に住んで働いている。彼も山東省出身の妻も一人っ子で、子どもはまだ二歳にならない。彼は最近北京に二軒目の住宅を買って、ふたたび返済に追われる「房奴」(住宅ローンの奴隷)となった。二軒目は両親のために準備したのか、と尋ねると、彼は笑ってこう答えた。「そんな先のことは考えていません。私たちの住宅は郊外にあり、教育の質があまりよくないのです。私たちは子どもを市内の幼稚園に入れたいので、幼稚園に近い場所に買ったのです」
任さんは、「上には老人がいて、下には子どもがいる」ためのプレッシャーは確かに大きいという。しかし、目下最大の関心事は子どものことだ。今、高齢者に関して「問題」と言えることがあるとすれば、春節をどちらの実家で過ごすかということかもしれない。
結婚したばかりのころは妻と相談して、今年はそちらの実家、来年はこちらの実家と交代に行くように取り決めていた。しかし、それを何度も実行しないうちに、任さんの父親が他界してしまった。残された母親が吉林省で一人暮らしをしており、一人きりの春節を過ごさせるのは忍びない。そこで、双方の親たちを北京に招き、北京で一緒に春節を過ごすようになった。
こうした問題は、各地から北京に来た若夫婦にはよくあることだ。以前、家には子どもがたくさんいて、そのうちの何人かが春節に帰ってくれば親たちは大喜びだったが、今では家に一人しか子どもがいない。どちらの実家に帰って過ごせばいいのだろう。この問題から夫婦げんかになってしまう場合も少なくないという。
そこで、若夫婦たちはそれぞれの家庭で独自の解決法を考え出しているようだ。ある夫婦は両親を呼び寄せて一緒に春節を過ごしている。ある家庭では交代制で実家に帰るようにしている。なかには春節の一週間の休みの前半三日は汽車で自分の実家に行き、後半三日は飛行機で妻の実家に行くことにしている夫婦もおり、春節の連休は普段にも増して疲れる日々になっている。もっとはっきり、夫婦別々にそれぞれの実家に帰るという、まるで独身時代さながらというケースもある。
中には、双方の両親がともに北京に住んでいて、普段から交互に両家に泊まっている人もいる。張さんの同僚の一人は、週に何回か、大きな荷物を抱えて出勤してくる。一週間のうち三日は自分の母親と暮らし、三日は夫の両親の家に行くのだそうだ。両親ともまだ元気で、その同僚は体が二つほしいような忙しさだという。
しかし、現在の掛け持ち同居は両親と一緒にいてあげるというだけだが、十年、二十年先に両親の体がきかなくなり、介護が必要になった時には、いったいどうなるのだろうか。 この点について、張さんの父親は話す。 「彼らの世代は、この後とても大変です。普段健康な時には何も問題ありませんが、いったん親が病気になれば子どもは病院に行って介護、付き添いをしなければなりません。特に夜は付き添わなければなりません。私たちは七人兄弟でしたから、一日交代で付き添うことができましたが、子どもたちの世代は一人しか子どもがいないのですから、どうすればいいのでしょう?」
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