目指すのは「慈善番付トップ」 陳光標政協委員

王征=文・写真

全国政協会議に出席し、記者に取り囲まれる陳光標政協委員
「世界長者番付トップは米国に任せて、私は世界慈善番付トップを中国にもたらしたいのです」中国江蘇省の私営企業家で政協委員の陳光標氏は、自らにこんな目標を課している。

陳委員は、中国の「改革開放」後に、市場経済を通じて億万の財を成した私営企業家だ。2009年末に発表されたフォーブス誌の中国長者番付で、資産45億1000万元とされた。中国における「成功者」の1人とされる。

しかし、ほかの新興億万長者と違うのは、彼が毎年会社の利益の半分以上を慈善事業に投じていることで、会社経営の十数年間の累計寄付額は13億4000万元に達する。2010年、陳委員は自らの死後にはすべての財産を寄付すると宣言し、「中国慈善番付トップ」と呼ばれた。

陳委員は1968年に江蘇省の貧困地区の農家に生まれた。5人の子どもがいたが、彼が2歳の時に兄と姉は餓死してしまった。「今でもおぼえていますが、子どものころさらに貧しい人が食べ物を求めて来たことがありました。両親はいやな顔をするどころか、家に上げて家族と一緒にご飯を食べさせたのです」

家が貧しかったため、小学校のころ陳少年は昼休みを利用して道で水を売った。「改革開放」後にいく度かの失敗を経験した後、彼は商才を発揮するようになり、廃棄物リサイクルの環境保護関連企業を設立し成功した。

「もし、『改革開放』がなされていなかったら、社会の安定もなく、私は今どんな様子だったでしょう? ですから、今日私が億万長者になれたのは幸運なことで、心の中でずっと社会に感謝しており、『改革開放』に感謝しています。そして、社会に何かをする責任があるのです」

陳委員は今でも自転車で通勤するほど生活は地味だが、善行はいつも「派手」に行っている。今年1月彼は一団を率いて台湾に行き慈善活動を行った。敢えて社会的弱者に直接現金を手渡したため、他人の尊厳を傷つけたと指摘され、「ショーではないか」「企業宣伝ではないか」と言われた。これについて彼は、「人を批判する時にはまず自分が何をしたのかを考えて見るべきです。私の行いが『ショー』だとしても、使ったのは本当のお金です」「こうした行為が多くの人に影響を与え、慈善事業に向かわせるのを、社会は必要としているのです」と述べた。

「世界慈善番付トップ」の目標について、陳委員は次のように話している。「問題は寄付の金額ではありません。金額では、私は永遠にビル・ゲイツやウォーレン・バフェットには及ばないでしょう。カギは本当に一所懸命行うことです。そして、行ったら各方面に宣伝し、広めることです。1人が行った善行を1万人に伝えたとしたら、それは1万の善行をしたのに等しいのです」

 

人民中国インターネット版 2011年3月5日

 

 
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