人民中国雑誌社 東京支局記者 単濤
東京支局は中野区にある。
1階の事務所で、北京の本社の編集長と電話で仕事の打ち合わせをしていた。その時、揺れが始まった。「普通の地震だろう」と思って話し続けていたが、揺れがだんだん激しくなってきて、52インチの液晶テレビが倒れそうになった。「これはただの地震じゃない」と感じた。
この時、新潟出張中の同僚の奥さんが3階の宿舎から飛んできて、震えながら「早く逃げよう」と叫んだ。事務所から外へ出ると、そこには次々と家から飛び出してきた人たちがいた。大きな道路のあちこちに、車が緊急停車している。いつもは穏やかな街が、一瞬にして恐怖に包まれているように感じた。
揺れがおさまり、事務所に戻ると、棚に置いてあったファイルが床に散乱し、壁に飾っていた写真も落下していた。テレビをつけると、どのチャンネルも地震の情報を報道する番組だった。
電車が止まっているので、歩いて帰宅しようとする人々の列が映っている。黙々と、助け合いながら歩いている。混乱はなく、整然としている。
携帯電話や固定電話はつながらず、インターネットだけが通信の手段となった。中国から安否確認のメッセージが殺到した。恐怖感を必死に抑えながら、「大丈夫です」と返信した。
人民中国インターネット版 2011年3月15日
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