人民中国雑誌社スタッフ 井上俊彦
東日本大地震発生直後、北京市内で2人の日本人と会っていた。短期で北京に滞在している方と留学生だ。まだ詳しい情報に接していない2人は、家族を心配してしきりに国際電話をかけたが、携帯にはなかなかつながらなかった。そこで、固定電話にかけてみると意外にあっさりつながった。
私自身は家族が災害エリアにおらず、緊急時に電話回線をふさぐのは申し訳ない気がしたので、家族や友人にはインターネットメールやSNSを通じて安否確認を行った。そうすると、日本から国際電話で「大変な地震だが私は無事だ。震源から遠い君の家族も心配はいらないはずだ」と伝えて来る友人もいた。外国にいる私には十分な情報が入っていないのではと、逆に気を回してくれたのだ。確かに、日本の大手ポータルサイトのニュースにはアクセスしづらくなっていたが、実は相当量のニュースが中国のテレビ、ニュースサイトを通じて入ってきており、いち早くかなり詳しい状況を把握することができた。
中国のテレビは直後から状況を伝え、ニュースチャンネルで特別番組を編成するなど、その後も詳細な報道を続けた。バスに乗れば、車内のテレビで地震のニュースが流され、ふだんはにぎやかな人々が言葉もなく、食い入るように画面を見つめていた。中国は2年前に四川大地震を経験しており、ひとごととは思えないのかもしれない。
被害状況が明らかになってくると、中国人の知人から電話やショートメール、メッセンジャーのコメントなどが届くようになった。私の家族や友人を案じ、心のこもったお見舞いの言葉に加え、何か力になれることはないかと親身な申し出を伝えてきたのだ。外国にいて何もできないもどかしさの中で、彼らの気遣いがうれしかった。
彼らの気持ちを、日本のみなさんにお伝えしたい。
人民中国インターネット版 2011年3月15日
|