天災を前に苦難を分かち合う中日

 

文=劉江永

劉江永 清華大学現代国際関係研究院副院長、人民日報海外版特約論説員

日本時間3月11日午後2時46分、宮城県の太平洋沖でマグニチュード(M)9.0の巨大地震と津波が発生した。日本の観測史上最大規模の地震だ。被災地の惨状はテレビやインターネットで直ちに全世界に伝えられ、人々を震撼させた。次々と押し寄せる数メートルの津波は、到達先の町を、農地を、森林を一瞬で呑み込んだ。あの家々の中にいた人々は無事なのだろうか。人々は胸を痛めた。

今回の巨大地震が日本列島に与えた破壊の大きさは中規模戦争にも劣らない。本州東北地方の宮城県、岩手県、福島県は深い傷を負った。日本の広範囲で、交通、電力供給、給水、生産、物流、通信、生態系がかつてないほど深刻に破壊された。現時点の概算で震災による死者は1300人余りに上る。

大きな愛に国境はなく、苦難はともに分かち合う。地震発生当日、中国の温家宝総理は直ちに日本の菅直人首相に電報を打ち、中国政府を代表して日本政府と日本国民に心からのお見舞いの意を表し、必要な援助を提供する意向を表明した。3月10日に中国の雲南省盈江県でもM5.8の地震が発生したばかりで、中国政府と国民は救援活動に忙しかったにもかかわらず、少しもためらわずに日本の被災地に援助の手を差し伸べた。中国赤十字の救援物資はすでに日本へ発送され、中国国際救援隊も出発命令を待っている。

われわれは08年の四川大地震の際の、日本政府と国民からの救援支援と救援物資を忘れることはない。巨大な自然災害を前に、人道主義の大きな愛は国境を越え、実際の救援活動に形を結び、中日両国民間の心の溝も埋めた。現在日本はかつてない巨大な震災に遭い、多数の死傷者が出ている。被災者も国際社会からの精神的、物質的支援を望んでいる。国連および20数カ国が次々と支援の意向を表明している。中国は隣国として、他国任せにせず積極的に支援を行う。

M9.0の巨大地震が発生したのは日本だが、多くの中国人の心にも影響を及ぼした。被害の深刻な仙台市はかつて魯迅が留学した都市で、仙台市を含む宮城県内には現在3万人以上の中国人が住んでいる。巨大な自然災害を前に民族に関係なく救助し合い、国籍に関係なくケアし合うのは、この世の大きな愛、大義だ。震災との戦いと救援活動の過程において、われわれは在日中国同胞に、自らの安全を確保すると同時に、ボランティア精神を発揚して、援助を必要としている周囲の日本の友人1人ひとりを助けるよう心から望む。

天災は非情だが、人には情がある。苦しいときにこそ、真の情がわかる。地震、津波、土石流は非情で、人類が共通して直面する明らかな脅威だ。中日両国の経済関係は緊密で、依存し合っている。地震によって、日本の工場で何らかの部品が生産停止に追い込まれれば、中国の企業・産業チェーンの正常な進行にも影響が及ぶ可能性がある。地震や津波の災害を前に、中日両国民は心をつなぎ、手をつなぎ、苦難を分かち合い、震災にともに立ち向かい、できる限り被災者の命を救い、正常な生産・生産秩序の回復に努めなければならない。

余震は現在も続き、震災との戦い、被災者の救援が日本全体の最優先課題となっている。各与野党はすでに一時的な「政治休戦」の意向を表明している。菅直人内閣は震災との戦い、被災者の救援を指導する重任を担っている。混乱もせず整然とした秩序を保って震災に対処する日本国民の姿は、われわれに深い感銘を与えた。中国にとって地震対策、救援方面で日本の長所は参考にすべきものだ。日本政府には国民を導いて震災に打ち勝つ能力があり、強靱で勤勉な日本人は必ず故郷を再建することができると、われわれは信じている。

 

「人民網日本語版」より 2011年3月24日

 

 
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