文・写真＝孫雅甜

独特の風土条件

寧夏回族自治区の日照時間は豊かであり、昼夜の温度差は激しく、それはワイン産業にとって有利な条件となっている。特に賀蘭山の東麓地区では、土壌の通気性がよく、年間降水量は200ミリ以下で、年間平均温度は9℃以下であり、世界的にみてもワイン産業むきの生態区である。2011年、中国国家質量監督検査検疫総局の審査を経て、「賀蘭山東麓ワイン」は、国家原産地呼称商品としての保護が実施されている。

賀蘭山東麓のワイン産業の開発は、1980年代末に始まり、年月を経て、現在ワイン用のブドウの作付面積は、40万ムー（1ムーは、6.667アール）、賀蘭山のワイン企業は、26社前後である。寧夏の地元の企業のほか、中国ワインの三大有名ブランドである「張裕」、「王朝」、「長城」が寧夏に、原料ステーションを構えている。またフランスのヘネシー、タイの有名ブランドも進出している。　ブドウは砂を固定化する作用があるため、寧夏のワイン産業は、巨大な経済利益をもたらすだけでなく、環境保護の面でも成果をあげている。

本土のワイン企業　西夏王

1984年に成立した当地区のワイン企業をリードする「寧夏西夏葡萄酒業公司」は、“中国優良ワイン第一区”とされる玉泉営産区にあり、この地の環境は非常に良い。河北省昌黎、山東省煙台に次ぐ、中国第三の国家原産地呼称商品区域である。現在、優良ワイン用のブドウの作付面積は、10万ムー、研究開発された「西夏王」ブランドのワインは、何度も国内外で受賞している。

王平来・生産管理部マネジャーによれば、ブドウを摘み、選び、初歩の加工をするプロセスで約11～12日を費やす。次に、果汁液を発酵樽にいれて5~6日発酵させ、味と質に応じて分別したうえでクヌギ樽またはステンレス樽にいれて、醸造する。クヌギ樽にいれたものは、ボトル詰めしたのち、高級ワインとなり、ステンレス樽のものは、中低級ワインとなる。

ワインの生産状況を語る王マネジャー

“私たちの工場のワインは主に寧夏、陝西、福建に売られます。現在の生産能力は、2万トンですが、将来的には6万トンになる予定です。そのほか、私たちは現在、国外市場について考慮中です」と王マネジャーはいう。「西夏王」の現在の販売対象は、普通の勤労階層など中低の消費能力の人々であり、そうした層むけの中低クラスワインは、1ボトル100元前後である。

高級ワインを生み出す神秘のクヌギ樽

同社の半地下のワインセラーには、フランス、ハンガリー、アメリカから運んできた225リットルのクヌギ樽がならび、高級ワインを醸造している。空気のなかには、フレッシュなクヌギの香気と発酵を経たブドウ液特有の微妙な酸味の混じる香りが漂い、訪れた者を陶酔させる。クヌギ樽は、ワインの豊かさとまろやかさを増す作用があり、ワインのクオリティとレベルをあげる。

海外から輸入されたクヌギ樽	ワインセラー

王マネジャーによれば、クヌギ樽によって、ワインの色は安定すると同時に深みを増し、鮮明になる。クヌギ樽は、果汁のボリフェノールと芳香物質の作用をじゅうぶんに発揮させ、ワインの味に奥行きがでる。クヌギ樽は、またワインの味をまろやかにする。クヌギ樽の木肌の孔からはいる微量の空気が原液に触れ、ワインの成熟に有利となり、渋みを減らす。

ワインセラーの温度は、13～18℃、湿度は65~80％に保たれている。ワインはクヌギ樽で半年から一年熟成させたのち、ボトル詰めにして販売できる。これらの高級ワインは、１樽約20～30万元であり、１ボトルはおおよそ1000元前後である。「海外のセレブリティのなかには、私たちのワインを購入し、樽に自分の名前を記して樽酒のオーナーとなる人もいます」と王マネジャーはいう。

ワイン試飲室

王マネジャーの説明によれば、「西夏王」は中国の消費者の味の好みについての調査を手がけたことがある。「ワインの文化が長い国では、人々は往々にしてクヌギ樽の味わいが濃く、色が深く、味わいの渋いワインを好みます。けれど、中国人はこの種の味を好みません。国内のワイン市場が成熟するにつれ、中国の人々もこうした味を次第に好むようになるでしょう」という。

百万ムーのブドウロードを作る

寧夏のワイン企業は、発展期のなかにまた困難にも遭遇している。現在、国内のワイン市場の60%が、張裕、王朝、長城の三大メーカーで占められており、「西夏王」のような寧夏のブランドの影響力はまだそれほどではない。寧夏のワイン産業の現状では、大規模で工業化された中低レベルのワインが多く、小規模なワイナリーによる高級ワインは少ない。

寧夏のワイン産業の発展について、郭秉晨・自治区発展改革委員会副主任は、「政府の課題は、合理的な計画を行い、ワイン醸造という稀少な資源をよりよく利用することである」という。「自治区政府はすでに専門家を招いて賀蘭山の東麓のワイン計画を作成し、2015年にはブドウの作付面積100万ムーのワインロードを目指します」と郭副主任は語る。「また、私たちは国際的大企業の寧夏におけるワイナリーの投資、建設の誘致に尽力し、寧夏の歴史文化資源とワイナリー、高級ワイン醸造をテーマにした旅行に融合させ、寧夏独特のワイン文化を創造します」という。

「西夏王」系列ワイン

「西夏王」９８カベルネ・ガーニシュト：宝石のような紅、コクがあり、口当たりはまろやかで典型的な「カベルネ・ガーニシュト」とクヌギ樽の香りがする。ハーブを多用した肉の煮込み、ジビエとあう。

「西夏王」９８精品赤：ピュアな宝石の赤、コクがあり、口当たりはバランスがよく、「カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・ガーニシュト、ピンリジュ」の3種のブドウをあわせた香りと優雅な芳香。豚肉や魚の醤油煮込みにあう。

西夏王シャルドネ白：淡い黄色、豊かな味わい、口当たりは爽やかで、典型的なシャルドネのブドウの香りと軽やかな香りがする。シーフードの生牡蠣、魚、エビ、または鶏肉、茹で豚肉などにあう。

西夏王玉泉荘園氷白：黄金色、なめらかで甘い口当たり。複数の果物の香りと甘く爽やかな芳香。スイーツや果物にあう。

人民中国インターネット版　2011年5月5日