羅豪才・中国人権研究会会長に同行してシンガポール国立大学東アジア研究所を訪問した際、「経済成長の促進という中国共産党の業績に疑問の余地はない。だが西側はしばしば中国の人権に疑問を唱えている。共産党はどのように人権を保障しているのか?」との質問を受けた。(文:葉小文・中国人権研究会副会長。「人民日報海外版」コラム「望海楼」掲載)
私は次のように答えた。
「自由、財産、安全、圧制への抵抗は人間の自然で揺るがぬ権利である」とした1979年のフランス人権宣言以来、世界にはそれぞれ特徴を備えた人権実現の道が3つある。(1)米国とフランスの革命期に形成。個人意識の発揚を後押しし、個性の開放を鼓吹し、公民の自由が政府の専横によって害されないようにすることに重点を置く(2)ロシア革命、ソビエト政権期に形成。社会・経済生活に政府が積極的に干渉する(3)第三世界が民族解放と国家の独立・富強を勝ち取る時期に形成。対外的には国権を争い、対内的には人権を保障。これらは重点は異なるものの、同じ論理を反映している。つまり「権利は社会の経済構造および経済構造によって制約される社会の文化発展を決して超えない」(マルクスの言葉)----だ。
共産党の人権保障は、その趣旨が誠心誠意人民に奉仕することであるというだけでなく、それよりも自覚的に歴史の論理に照らし、中国の国情に立脚して、民族解放と中国経済・社会発展の促進を勝ち取る過程において正しい人権実現の道を選択できることにある。
共産党の指導した新民主主義革命によってすでに、三つの大きな敵(帝国主義、封建主義、官僚資本主義)による抑圧が覆され、人民が主人となる偉大な人権運動が推し進められた。新中国成立後は人口が多く、基盤が脆弱で、外部からの圧力が大きかったため、生存権や発展権など集団的人権が真っ先に脅かされた。だがこれは公民個人の権利を軽視してよいということではないし、人権を資産階級の発明と誤って見なし否定するのはなおさらにいけない。苦い経験を胸に刻み、教訓を深く汲み取るべきだ。
では改革開放後の30数年間、共産党はどのように人権を保障してきたのか?
(1)党の趣旨を再確認し、政権理念を明確化する中で人権を保障した。混乱の収拾と秩序の回復を経て、人民の意志、願い、利益の実現が立党と執政の根本であることを強調した。権力は民のために賦与され、用いられ、心は民と共にあり、利益は民のために図る。共産党の執政とは人民による国家権力の掌握・管理を指導し、支持し、民主的選挙、民主的政策、民主的管理、民主的監督を実行し、人民が法に則り有する広範な権利や自由を保障することだ。第15回党大会以来、「人権の尊重と保障」を新世紀、新段階における党と国家の発展の重要目標として確立した。
(2)法治を実行し、社会主義法治国家を建設する中で人権を保障した。「国は人権を尊重し、保障する」との文言を憲法に盛り込んだ。中国の法体系はさまざまな角度、さまざまなレベルから公民の政治的権利、経済的権利、社会的権利、文化的権利について具体的に定め、法律・制度面から公民の広範かつ真の普遍的な人権および基本的自由をしっかりと保障している。
(3)科学的発展を促進し、調和社会を建設する中で人権を保障した。伝統的な人権保障は公民の権利に拘泥するか、政府の管理を強調するかだ。科学的発展観はこうした二者択一的な思考方式を乗り越え、歴史の論理に照らし、中国の国情に立脚して、新たな、バランスのとれた人権実現の道を確立することを求めている。人権の普遍的原則を尊重するとともに、基本的国情に立ち、人民の生存権や発展権の保障を最も重要な人権保障としてしっかりと据え、経済・社会の望ましくかつ急速な発展の促進を基礎に、社会全体の構成員の平等な参与、平等な発展の権利を法に基づき保障する。公共秩序の維持によって公民の自由を保障する。経済・社会の全面的に調和のとれた持続可能な発展を促し、人の全面的な発展と解放を一歩一歩実現する。
中国経済・社会の発展に伴い、人権事業はたゆまず進展する。
「人民網日本語版」 2011年6月21日
|