新たな発展のチャンス 「1対1支援プロジェクト」

 

始まった新疆支援事業

2010年3月30日、「全国の新疆対口支援(1対1の支援体制)に関する工作会議」が北京で閉幕した。会議は、北京、天津、上海、広東、遼寧、深圳など19の省・市が新疆1対1支援を受け持つことを決定した。新たな新疆援助事業が始まった。今回の新疆「1対1」支援プロジェクトは「支援を受ける地域が最も広く、恩恵を受ける人が最も多く、投入資金額が最も大きく、支援を受ける分野が最も全面的」と考えられている。

この19の省・市が支援対象地区の実際状況に基づき、科学的な支援計画を編制した。同計画によると、参加する各地政府は「十二・五」規画期間に、660億の資金を捻出し、主に「富民安居」(人々が裕福かつ安穏に暮らせること)、「保障性住房」(保障タイプ住宅)、医療・衛生、バイリンガル教育、就職拡大などの領域に用いる。そのうち、民生建設への投資割合が60~70%に達する。

「1対1」で新疆を支援

今回の新疆に対する支援プロジェクトは、「1対1」支援という、比較的経済の発達した地域が経済発展の遅れた地域を1対1でパートナー支援する方式を採用している。江蘇省泰州市とイリカザフ自治州ツァオス県がペアを組んだ。泰州市政府は2011年から、10年を期限として、前年の泰州地方財政一般予算収入の0.5%を当てる。2011年の泰州市がツァオス県を援助する資金は7000万元以上、全部で13の民生と産業のプロジェクト、主に安居住宅、牧畜民定住地、医療設備、道路建設、人材育成など民生領域である。また、支援対象地区の潜在経済成長力を掘り起こすため、泰州市は300万元を投入してツァオスジャガイモ優良品種栽培基地を建設し、500万元を投入してツァオス県イリ種馬成育場を設立し、当地の特色ある地域産業の発展と、地元の農・牧畜民の生活向上を援助した。

民生で新疆を支援

コルガス県にある「江蘇幼稚園」は江蘇省の新疆「1対1」支援のプロジェクトの1つだ。江蘇省政府が500万元を投入し、敷地面積7千300平方㍍で5百人の子どもが収容できる幼稚園を建てた。この幼稚園には少数民族の子どもが57%を占め、教員も各民族で構成されている。管理費、食費を含む月当たり200元だけ園児の家庭が負担し、他一切の費用は政府が補填している。

カザフ族の5歳半の女の子イリヌアルちゃんと6歳の漢族の女の子侯心潔ちゃんは、この幼稚園の子どもで、2人ともダンスが好きだ。侯ちゃんは少数民族の教員からカザフ族の踊りを学んだ。幼稚園ではバイリンガル教育を実行し、普段は中国語を使うが、少数民族の子どもには自分の民族言語の授業も設けている。また、子どもたちは簡単な英語もここで勉強できる。現在、ますます多くの少数民族の親たちが子どもをこの幼稚園に入園させたがっている。

少数民族の幼児教育問題を解決するため、コルガス県政府は今年47のバイリンガル教育幼稚園を増設する予定だ。周囲3キロごとに1カ所の幼稚園を確保し、各民族の子どもたちに正規の学齢前教育を受けさせる。

医療・衛生の支援も今回の新疆支援の1つの重点プロジェクトだ。中国衛生部(省)陳竺部長は、今年6月までに、19の「1対1」支援省・市の医療衛生新疆支援計画が基本的に完成し、投資総額42億8000万元、265のプロジェクトになると表明した。

同計画では、医療衛生機構のインフラ整備、医療設備の購入、関連人材の養成、医療衛生の情報化などが含まれる。

人材で新疆を支援

新疆の発展には優秀な人材が欠かせない。人材育成が今回の新疆「1対1」支援のキーポイントだ。人材育成プロジェクトとは、新疆のために多くの人材を育成することで、「輸血」と「造血」を合わせて、新疆の大いなる発展のための推進力となる人材を長期的に提供する。

今年3月、天山山脈の南北からの2654人の大学生が東部地区行きの列車に乗った。新疆地区の未就職の大学卒業生に対する人材育成プロジェクトが始動した。今後の2年間で、新疆地区の2万人を超える未就職の大学卒業生が、「1対1」支援に参加する各省・市の60以上の大学で育成訓練を受ける見込みだ。

新疆ウイグル自治区の張春賢党委員会書記は、人材育成訓練を受けるため内地に向かう新疆の大学生に対し、「就職技能を高めるだけではなく、より大切なのは、視野を広げ、意識の変革をすることだ」と語った。

 

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