「どんな決定をしても支えます」
―日本、あなたに言いたいこと―
北京語言大学 阿勒塔•吾鲁扎巴依尔
日本へ
君を最初に知ったのは五歳のときでした。ウルトラマンのおかげで、君がこの世界に存在していることがわかるようになりました。
私はウルトラマンが大好きです。宇宙から地球にやって来て、正義のためにさまざまな怪獣たちと戦って、ずっと人類を守ってきています。こんないいヒーローを作ってくれて、ありがとう。でも、あの時、君の声を直接聞くことができませんでした。中国で上映しているウルトラマンの声は吹き替えだったからです。一度父や母を困らせたことがありました。「どうすればあの人の本当の声を聞き本当の姿が見られるのか」と言う私のことを、父も母も理解してくれませんでした。「女の子として生まれたのに、ウルトラマンみたいな、男の子が気に入るものが、どうして好きなの」と。私もよくわかりませんが、ずっとそんなヒーローのことが好きなのです。中でも一番好きなのはウルトラマン・エスです。
十一歳になって、初めて君の言葉を勉強できることがわかりました。私たちが住んでいたビルの一階のおばさんの娘が北京外国語大学に合格したのです。とても羨ましく思いました。でも、そのときには、君のことを熱心に勉強していこうとは思っていませんでした。君のことをよく知らなかったからです。
大学の日本語学科に入り、学年が進むに従って、どんどん君のことがわかるようになりました。面積は中国より大きくはないけれど、経済も政治も発達しています。昔、中国と戦争がありました。でも、それはもう終わったことです。重要なのは、これからのことではないのか、お互いに助け合って一緒に進歩することではないのかと思います。君は私の国の近くにいますし、アジアでも全世界でも影響力のある国同士として仲よく暮らさなければ、他の国の人たちは私たちのことをきっと笑うにきまっています。あっ、こんな話をしちゃった。ごめんね、元の話に戻りますから。
君のことを勉強しようと決心したのは大学入試のときでした。まったくためらわずに「日本語科」を選び、夢のような大学に入ることができました。両親も理解してくれていて感謝しています。
最初は、毎日「あ、い、う、え、お」ばかりでつまらないと思いました、でも、勉強し続けた結果いろいろなことが発見できました。日本語の新聞や本などを読むこと、日本のドラマを見ること、日本人と話すこと、これらは全部すばらしいしいことだということが。日本語を聞けば聞くほど、話せば話すほど、きれいに感じます。好きなウルトラマンをこの手ですくい上げることもできました。吹き替えのものもやめて、日本語で見ています。ウルトラマン兄弟たちの勇気や精神を深く感じることができます。ネットで、ウルトラマンのファンと一緒に討論し、映画に字幕を作ることもしています。君、うれしいですか?君は私のことをよく知らないと思うけれども、私は君のことを考えながらこれからも頑張ります。
ずっとこっちのことばかりしゃべってきていますよね。ところで、君はどう、どんな具合ですか、傷は治りましたか。三月に大きな地震があったではありませんか、君は心も体がとても痛いにちがいありません。でも、大丈夫、私たちがいるから。支えていますよ。原子力発電所のことでも困っているでしょ。迷っているでしょ。いいことも出て来ているけれど、やっぱり悪い影響もたくさん出て来ていますね。中国でも原子力発電所についていろいろな議論が出て来そうです。必要か必要でないか、君も子供たちの言い争う声をきいて、どうしていいかわからなくて、頭が痛くなっていると思います。でも、君がどんな決定をしても、支えます。君のこと信じているからです。もう一つ、君の頭が痛くなるのは子供たちのリーダーのことではないのかな。首相は短い間につぎつぎと変わっていて。これはどうしてでしょうか、よくわかりません。だから、君が戸惑うことも理解できます。
こういう話を聞きました。「日本はもう失敗した。大地震のせいで、発展が遅くなるぞ」って。だからといって悲しまないでね。こんなことを言う人は遠くを見る目がない人です。気にしないで、自分の道をしっかり着実に歩いてね。少なくとも、チャンスがあったら、私は君を見に行くからね。一番行きたい所は京都。そこで、古い雰囲気を感じ取り、君の心を読んで、君の本当の姿が見られるようになりたい。会いに行けるように頑張りますからね。
いろいろ話をしたけれど、全部本音で、思い出したり頭に浮かんだりしたことを言っただけです。それから、来年は2012年、中日両国は国交正常化40年を迎えます。もうそんなになるのかな。けっこう長い時間ですね。でも、ここで止まってはいけません。もっと長く付き合うために、頑張りましょう。きっと美しい未来が作っていけると私は信じています。
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