日本の大地震に思うこと
大連工業大学 韓璐
中国では、最後には生まれ故郷に帰って落ち着くという伝統的な考え方があります。この考え方によって、故郷とはどれほど重要なのかということが明かにされています。身の程知らずに、いつも何とかしていわゆる自由を得ようとして青春時代を体験し、今故郷の存在をもっともっと大切にしたいと思っている私は、今度の日本の大地震について、いろいろ見聞きしたことで、より深く理解できたような気がします。
今年3月11日、皆さんはどこで何をしていたでしょうか。私たちはいつものようにごく普通の一日を過ごしていた時に、日本では史上空前の大地震が起こり、多くの被害がもたらされました。一瞬の間に幸せな生活が消え失せました。思いも寄らない大地震と津波は、家屋や財産や多くのものを奪い去りました。更に、故郷から遠く離れたところに移らなければならない人も数多くいました。親がいなくなった子供の泣き声や、家族を亡くした人の悲しい顔、そして故郷とつらい別れをした人々の姿は毎日テレビに出てきました。最も印象深かったのは、取り壊されて平地になった故郷に向かって、深くお辞儀をしていた女性の映像です。一日も早く故郷に帰りたいという声は被災者皆の本音です。テレビの前で、私は感動をうけ、涙をこらえ切れませんでしたし、感慨もひとしおでした。この先、故郷のことを気に掛けながら被災者はどのようにして、どこへ向かうことになるのでしょうか。
2008年中国の大地震が起こった後、身も心も傷つけられた四川省の何万人の被災者は、仮の住まいで苦しい日々を送りました。苦しみを乗り越え、被災者たちは国内外からの援助のおかげで、廃墟の中で新しい町を築き上げました。皆は離れることなく、あくまでも生まれ故郷を守りました。八ヶ月が経って、国を挙げて皆で中国の伝統的な祝日・春節を祝った時、私はテレビでこういう画面を見ました。その新しい町では、家々に明かりが灯り、一家が団欒し、来年の幸せな生活を望んでいました。その上、部屋がよく整っていて、清潔な新しい校舎を見て、心より笑っている子供の笑顔が胸に焼き付けられました。我々人間にとって、故郷は永遠の港のような存在で、たとえ心が傷だらけになっても、慰められるところです。故郷というものが心にあれば、すべてを乗り越えることができます。
今、日本の被災地の皆さんも明日の幸せのために、精一杯頑張っていると思います。時が経つことで、どんなに大きな地震であっても過去のこととなっていきます。すぐには故郷に帰ることができなくても、故郷はずっと私たちのことを深く見守り続けてくれています。苦くても笑顔で今を生きていきましょう。
被災地の皆さんが幸せになることを願わずにはいられません。
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