日本の安住淳財務相はこのほど、日本政府は最大で100億ドルの中国国債を購入することを検討しており、野田佳彦首相が25日からの中国公式訪問に際して、この件について中国側と話し合う予定であることを明らかにした。双方が一致すれば、日本は初めて中国国債を購入することになる。「人民日報」海外版が伝えた。
▽今、最も安全な中国国債
実際のところ、日本も中国と並んで巨額の外貨準備資産を保有する国だ。今年11月末現在の日本の保有額は約1兆3千億ドルで、中国に次ぐ世界2位となっている。だが世界2位の債権国である日本の外貨準備資産は資産構成が比較的単純で、全体の約75%を占める約9千億ドルが米国債だ。
首都経済貿易大学金融学院の謝太峰院長は取材に応える中で、「米ドルやユーロに比べ、現在、中国国債への投資はリスクが最も小さいと考えられる」と述べ、米国は世界最大の国債投資市場だが、米国自身が過重な債務負担という問題を抱えており、米国債を持ちすぎれば一定の焦げ付きリスクを抱えることになると指摘した。
謝院長によると、外貨準備資産の管理には安全性、流動性、営利性という3つの原則があり、安全と流動の保証を前提として利益を追求しなくてはならない。よって、安全を保証するためにリスクの小さい国債に投資するのだという。
だが現在、欧州の債務危機がますます激化しており、こうした状況の下で、米国国債市場と欧州国債市場のリスクが増大しており、中国の現在の債務水準は全体として欧米よりもかなり低くなっている。謝院長の分析によると、中国の現在の赤字の対国内総生産(GDP)比は国際警戒ラインである3%を下回るが、欧米諸国の多くは3%を上回り、10%を超える国もあるという。
謝院長は「金融危機が世界経済を軒並み停滞させている状況の中で、中国経済は8%を超える高度成長を維持している。これと同時に、人民元の価値を安定させ、対米ドルレートは緩やかに上昇を続けている。よって中国国債への投資はリスクが最も小さいといえる」と述べた。
▽人民元の国際化を促進
とはいえ、現在、中国には3兆2千億ドルを超える膨大な外貨準備資産がある。謝院長は日本が今のタイミングで中国国債を大量に購入しようとしていることについて、一定の懸念を表明し、次のように述べた。日本にとってみれば、中国国債への投資リスクは相対的に小さいが、中国にとってみれば、人民元は日本の準備通貨ではなく、日本が円あるいはその他の外貨準備資産で中国国債を購入したとすれば、すでに十分な量を保有する中国の外貨準備資産がより一層増加することになる。
だが日本政府は、今回の国債購入は人民元の地位強化を助けるだけでなく、人民元建て債券取引に向けたオフショア市場の育成にも通じるものだと再三強調する。
日本側の動機がこれほど単純なものであるはずはないが、ある業界関係者は、今回の動きが人民元の国際化の歩みを加速させることは確かだと話す。日本が中国との最終合意を達成すれば、先進7カ国(G7)の中で初めて外貨準備資産に人民元を組み込んだ国となり、ひいては国際社会が人民元を認めたことを意味することになるという。
謝院長は「人民元の国際化には人民元が投資通貨、準備通貨、決済通貨になることが必要であり、この三大通貨になって初めて人民元が国際化したと言える」とした上で、次のように述べた。現在は中国国債は主に銀行間市場、金融機関などの窓口、証券取引所などの市場で取引されており、こうした市場はいずれも国内の金融市場だ。日本がこのたび中国国債を購入することは、金融市場の角度からみれば、中国の国際投資市場への段階的発展を促進するものとなり、人民元が今後、国際的な投資手段へと成長することを促進するものとなる。
「人民網日本語版」 2011年12月22日
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