寧波 海上シルクロードの出発点

 

寧波という地名は海に由来し、「静かな海には波が立たない」という意味がある。寧波は悠久の歴史があり、7000年以上の文明史を誇る河姆渡文化の発祥地だ。唐代に寧波は海上シルクロードの出発点の1つとなり、揚州そして広州と共に中国三大対外貿易港と呼ばれている。アヘン戦争以降は「五大通商港」の1つとなった。

寧波港──瞬く間に台頭した東方の大港

寧波市中心部にある天一広場(写真提供・浙江省旅遊局)

北侖3期ターミナルで、コンテナを満載した運搬車が、時折近くで音を立てながら通り過ぎていく。「ここでは毎日、およそ1万台のTEUコンテナが出入りしている。最も多いときには1万8000台に達する」と北侖第2コンテナターミナル支社の現場責任者である鄭学武さんは語る。ターミナルの長さは1258㍍で、300㍍の船が同時に4隻停泊することができる。「10年前に私がここに来たばかりの時は、港に入る船が非常に少なく、毎日平均900台のTEUコンテナしか扱わなかった」

寧波港は中国大陸の海岸線の中部、長江と沿海のT型合流地点に位置し、世界でも数少ない理想的な深水港だ。寧波港は北侖、穿山、鎮海、大榭、梅山等の港区から構成されており、舟山群島という自然の障壁があり、30万㌧級もの巨大な船が港に自由に出入りすることができる。ここは10万㌧級を超える超大型船が国内で最も多く出入りする港だ。

2011年、寧波港の貨物取扱量は4億3300万㌧を超え、前年同期比で5.2%増加し、内国港のうち第3位であり、世界の上位5位に入った。コンテナの取扱量は1451万TEUを超え、前年同期比で11.6%増加し、内国港の第3位であり、世界第6位だ。

寧波港は中国で最も古い港の1つだ。早くも7000年前に、寧波の先住民は河姆渡文化を発達させ、早い時期に港のひな型を形成していた。752年、日本の孝謙天皇が遣わした3隻の遣唐使船が寧波港に到着した。この時以降、寧波港は1200年以上の対外開放の歴史を持つ。

 現在、寧波港は世界の百を超える国や地域の600余りの港と貿易取引をしている。上位20位の定期便会社は、寧波港にすでに進出している。2011年末までに、寧波港のコンテナ船航路はすでに236路線あり、コンテナ船の便数は月平均1300便近くに達する。そのうち日本までの航路は12路線、2011年のコンテナ取扱量は30万5000TEUだった。

寧波港

寧波に拠点を持つ日本企業は929社

今井正志氏は4年前に、寧波アルプス電子株式会社の社長として派遣され、寧波に駐在している。寧波は日本から遣唐使が到着した場所なので、今井氏は初めて寧波に到着した時、非常に親近感を覚え、寧波料理も口に合った。寧波の投資環境に関して、今井氏は非常に感慨深げにこう言った。「ある時、顧客が商品を大至急必要としていた時に、寧波市対外経済貿易協力局や税関などの機関が手続きを簡略化してくれたおかげで、迅速に商品をお届けすることができた」。そればかりか、会社で労働者が不足していた時に、寧波はアルプス電子を含む40社余りの企業のために、四川、江西などから労働者の募集活動を組織してくれた。

河姆渡遺跡から出土した『双鳥朝陽象牙蝶形器』

今井氏と同じように、寧波宝新ステンレス有限公司の副社長である片岡聡氏も寧波を大変気に入っている。2009年に寧波へ来る前、彼は中国に一度も来たことはなかった。しかし、横浜に住んでいた彼は、非常に多くの中国人と接する機会があった。それで彼は寧波に来たあと、少しもよそよそしさを感じることがなかった。「寧波は非常に美しく、よその都市へ行って寧波に帰ってくると、まるで家に帰ってきたような気分になる」

今井正志氏や片岡聡氏は一企業の取締役という立場だけでなく、もう1つの特別な肩書きを持っている。それは日商倶楽部の副会長、理事だ。「日商倶楽部は1998年に設立された。当時は寧波に住む日本人が比較的少なく、みんなで生活情報を交換し合った。例えば、どこで物が買えるか、どこにおいしい日本料理店があるかなど」日商倶楽部の事務局長で、中国日通国際物流有限公司の社長である坂田義行氏はそう語った。日本企業が増え続けるにつれて、日商倶楽部も徐々に生活情報の交換から企業のサポートへと発展していった。困難や問題に直面した会社はいつでも、日商倶楽部を通して現地政府と交渉することができる。現在、日商倶楽部に加入している企業は98社に上り、会員数は204名を数える。「私たちはよく集まって、一緒に食事を楽しみ、ゴルフやテニスなどのスポーツを企画し、さらに会員たちで共に寧波付近の旅行を企画している」

寧波天童寺(写真・葉炜)

望ましい投資環境と理想的な地理条件に恵まれ、寧波は日本企業の投資対象として非常に重要な都市となった。寧波市対外貿易経済協力局の顧立群副局長はこう語る。現在、日本は寧波の3番目に大きな貿易パートナーとなっている。2011年末現在、寧波に投資している日本企業は929社に上り、日本から実際に利用した累計資本は7700万㌦に達する。(王漢平 張春侠=文 劉世昭=写真)

 

人民中国インターネット版 2012年4月

 

 

 

 

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