内陸部開発の投資拠点 高成長率と豊富な人材

 

四川は中国西部の対外開放において最も重要な窓口で、これまで200を超える国や地域と経済貿易関係を築いた。そのうちの9カ国が成都で領事施設を開設しており、世界企業上位500社のうち177社は四川に進出している。現在、四川は成渝(成都と重慶)経済区の建設に取り組み、天府新区の建設を全面的に開始しており、中国内陸部において瞬く間に、経済成長の熱気溢れる都市となった。国内外の投資者が中国西部で投資や起業を検討する際に、最初に選ばれるのが四川省だ。

優れた投資環境

近年、四川経済の急成長や豊富な人材資源、そして政府の優遇政策に魅了され、世界各国から数々の企業が相次いで四川に設備投資を行って工場を開設したが、それら投資した外国企業の中には日系企業も少なくなかった。四川で成功した彼らの経験は、後に続いて参入する企業にとって良い見本となった。

「現在、将来性のある市場として四川に目を向け始めた日系企業は増えています。なぜなら東部地域、とりわけ上海などの市場が、すでに飽和状態になりつつあり競争が激化しているため、一般の中小企業が現地で事業展開するのは容易ではありませんが、四川は市場としての伸びしろがとても大きい上に、その背後には西部というさらに大きな市場があるからです。日系企業にとって、今は四川に進出する絶好のチャンスで、この機会を逃すなら、チャンスは大幅に減少すると思います」と日中経済協会成都事務所の後藤雅彦所長は語っている。

これに対し、成都神鋼エンジニアリング機械有限公司企画本部の根本数行副部長は次のようにアドバイスしている。「経済力のある大手企業が四川で直接投資を行うことは可能だと思いますが、規模が比較的小さな企業は現地でビジネスパートナーを探し、業務提携を結んで事業を展開したほうがよいと思います」

「四川での投資優位性といえば、まずは急成長している経済だと思います。昨年、四川の国内総生産成長率は14.5~15%で、今年は12%を目標にしており、全国の7.5%よりもはるかに高い数値です。さらに挙げられるのが人材資源です。四川では、毎年30万人近くの大学卒業生を輩出し、一部の卒業生は中国東部で就職しますが、親が年老いたなら、もしかしたら5年、10年後には四川に戻ってくるかもしれません。沿海地域での給与がどんなに上昇しても、その傾向は変わらないと思います」と三菱東京UFJ銀行成都支店の石川文一店長はこのように語っている。

四川一汽豊田汽車有限公司の加藤昭夫取締役、総経理は、四川省の優れた人材資源を高く評価してこのように語った。「四川人はとても仕事熱心で、勤労意欲に満ちています。わが社の退職率は非常に低く、彼らはみな心地よく仕事に従事しており、任されたすべての仕事を細部に至るまで丁寧に行い、最高の仕上がりとなるように努めています」

こうした人々の努力によって、現在の四川省は大きな変化を遂げてきた。成都イトーヨーカドーの今井誠副総経理は以前のことを振り返って、このように語った。「1996年8月、私が初めて成都市に来た時には、空港から市中心部の春煕路まで、信号機がただ一つしかありませんでした。本当に不思議なことだと思いませんか?その後16年間に、成都市は三段跳びのような長足の発展を遂げました。コンビニのセブン・イレブンは昨年3月、成都市に初出店しましたが、わずか一年間でさらに54店舗も新規オープンしました。政府からのサポートがなければ、これほどまでに急速なスピードでの店舗展開はありえなかったことでしょう」

海外進出を願う四川の地元企業

四川省の地元企業は外資を絶えず吸収しながら、同時に海外進出を果たし、国際市場に協力を求め、さらなる発展と拡大を願っている。このために、中国国際貿易促進会四川省委員会、四川省農業庁などの機関はさまざまな活動を行い、四川省の特色ある企業を紹介した。

例えば、6月1日、広島のグランドプリンスホテルで行われた「四川農業広島展示会・プロモーション」で、いくつもの地元色豊かな企業が登場した。その中に名を連ねている環太実業有限公司は、主に涼山苦蕎茶の販売を手がけており、成都市ではどこでも店舗を構えている名の通った企業だ。主力商品である苦蕎茶は、麦茶によく似た味わいで、栄養満点の健康茶だ。朗瑞シルク有限公司は、主に中国4大名錦(刺繍)の一つとして有名な蜀錦を取り扱っている。中国の他の地域で生産されたシルクと比べて、蜀錦は立体感があり、模様が華やかで気品にあふれ、鮮明な蜀地方独特の趣きを備えている。また、四川恵通実業公司が販売している四川泡菜(四川省の漬物)は地元名物の辛い惣菜だ。韓国のキムチを持ってきて食べ比べてみるのも悪くない。本場四川の味わいをたしなむことができるだろう。

 

 

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