競争が国有企業を強化

于文=文 新華社=写真提供

中青旅持株有限公司(中国青年旅行社が発起人の持ち株会社)は中国旅行業界で最初にA株市場に上場した企業だ。国有企業として、2011年、東日本大震災、欧州債務危機、中東、北アフリカの動乱など困難な市場環境の試練を受けながら、創業以来最高の業績を収め、通年の本業による収入は84億2100万元に達し、前年比38.42%の伸びを示した。

福島第一原発事故現場で作業中の三一重工のアーム長62㍍のポンプ車

「規模拡大と専業化がわれわれの勝利のカギでした」と、張立軍総裁が述懐していた。規模拡大は国有企業の優位性のおかげで、資金、人的資源、技術などの方面で絶えず業務範囲を拡大し、広範な旅行サービス体系を構築することができた。さらに専業化は市場競争で鍛えられたものだ。日本観光を例に挙げると、長年にわたり、東京から大阪へという古典的なコースを変えたことがない。コースも景色を見る場所もいつも同じで、観光客はガイドに案内された場所を見るだけだった。日本が中国人に発給するビザの制限が緩和されると、多くの民営や外国の旅行会社が多彩な旅行プランを売り出した。同社は直ちにこうした市場ニーズをとらえ、特色ある旅行プランを販売し、国有企業の高い信頼度とサービスネットワークの広さというメリットを生かして、競争に打ち勝ち、足場を固めた。張総裁は「消費者を肉親と同じように考え、消費者に気に入ってもらうだけです。サービスの内容を豊富にし、質を向上させ、市場環境が不誠実であり、ルールが守られていないとすればするほど、われわれは責任ある企業としてこれに立ち向かいます。そうしてこそ、激しい競争に抗してしっかり地歩を固めることができるのです」と語った。

国有企業、とりわけ中央直轄企業と言うと、ほとんどの人が自然に「独占」を思い浮べるだろう。しかし、実際には、現状の企業分布を見ると、90%以上の国有企業は激しい競争が展開されている業界に属している。国務院国有資産監督管理委員会研究センター競争力研究部の許保利部長は、改革開放以来、国有企業は多くの市場化改革を経て、競争を通じて、長足の進歩を遂げ、既に計画経済体制下の国有企業ではなく、また「独占」「非効率」とイコールとは言えなくなった、と認識している。

中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した当初、中資銀行と外資銀行の間には、イノベーション能力の面でかなりの格差が存在していた。外資銀行は金融商品が豊富で、ハイエンドの顧客に対するサービス経験とマネジメント理念などの方面で独自性があり、多くの人々がWTO加盟後の銀行業の対外開放には憂慮をいだいていた。中には、加盟5年後に、外資銀行が中国金融市場の20%前後を占有するだろうという分析もあった。

民営企業・晋江遠宏(福建)実業有限公司の布靴、ゴム靴の生産工場

しかし、十数年後、中資銀行は萎縮するどころか、大多数の海外金融機関が世界金融危機で重傷を負った際には、独り勝ちだった。目下、外資銀行が中国金融市場で占める比率はわずか2%に過ぎない。工商銀行を例に取ると、加盟後十年間の競争を経て、総資産、預金・貸付の増加額は三倍前後となり、純益は次第に増加し、世界金融危機の大試練で、「袋の中にある錐の先はたちまち袋を突き破って外に出る」の例えにあるように、いち早く脱し、市価、顧客預金、ブランド価値などの多項目の指標を世界最初に達成した、上場銀行となった。

外資銀行との競争で、中国の銀行業界には顕著な変化が現れた。工商銀行の貸借対照構造、与信構造、利益構造など各項目の経営構造が好転し、特に過去のような預金と貸付の利息差によって収入を得る収益構造に根本的な変化が生じた。国際化したネット営業は34カ国・地域の244機関におよび、経営領域は基金、金融レンタル、投資銀行、保険など多数の分野に拡大した。工商銀行の責任者は、このような成績を獲得できたのは、競争圧力の下で、国有商業銀行として、いち早くモデルチェンジに踏み切ったからだ、と考えている。外資銀行の経験を手本にイノベーションを加速させたのだ。国務院国有資産監督管理委員会の邵寧副主任は「国有企業、中央直轄企業が大きな利益を上げたのは、主にここ数年のシステム、メカニズムの改革、刷新によるものであり、またマネジメントの水準向上と競争力の強化によるものでしょう。速やかな発展、高収益は独占に依拠して得られたという言い方は現実には当てはまりません」と述べた。

 

 

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