日本の家電製品はかつて業界の勝利者だったが今は違う。釣魚島(日本名・尖閣諸島)の問題がますます悪化するのにともない、8月以降、日系ブランドの売上高が大幅に落ち込んでいる。大型家電チェーンの内部データによると、北京市、上海市、広東省では日系ブランドのテレビの売上高が前月に比べて大幅に落ち込んでおり、東芝は前年同月比40.31%、サンヨーは同44.32%、パナソニックは同23.41%、シャープは同21.06%、それぞれ減少したという。中国新聞網が伝えた。
家電産業専門家の陸刃波さんによると、釣魚島をめぐる日本の発言や行動が中国人消費者の感情を逆撫でし、日系家電の売り上げにマイナス影響を与えている。これと同時に見過ごせないのは、日系ブランドのイノベーション能力の不足と営業販売モデルの古さだ。「日系家電メーカーは三年前に下り坂になり、釣魚島事件がこれに拍車をかけ、衰退を加速させている」という。
▽中国人消費者「日系家電は対象外」
北京市東三環路にある大手家電チェーンの国美
電器と蘇寧電器の店舗を訪れてみた。国美ではソニーの携帯電話販売員から、「中日関係が製品に影響を与えている。製品を選ぶ時、釣魚島の問題に触れる人がいる。こうした人は多くはないが、(釣魚島問題が)商品購入に影響を与えている」という話を聞いた。
蘇寧では品定め中の消費者から、「今は日系家電製品を選ばない。日系ブランドは一般的に値段が高く、コストパフォーマンスが低いからだ。それに釣魚島の影響や日系家電には何でも相応の代替品があることから、しばらくは日系製品は対象外だ」という話を聞いた。
「南方日報」が8月28日に伝えたところによると、国美や蘇寧の店舗では、シャープ、ソニー、パナソニック、東芝などの日系メーカーが、テレビ売上高ランキングで明らかに順位を落としている。蘇寧の8月のデータによると、蘇寧のシステムの中では、日系テレビ市場はすでにサムスンやLGなどの韓国メーカー、およびTCLや創維を代表とする中国メーカーに浸食されており、パナソニックや東芝などはベスト10からはじき出されたという。
▽ネットでブログで「日本製品ボイコット」
ネット利用者達は日系家電製品についてそれぞれの見方を発表している。ある人は新浪のミニブログの中で、「釣魚島事件が起こってから、自分にとって最も影響が大きかったことといえば、今回家のインテリアを変えた時、家電製品では日本製品をすべて排除したことだ」と述べた。
また別の人は自身について、「我が家は携帯電話、カメラ、コンピューター、テレビ、すべての家電について基本的に日本製品をもたない。欧米のものはあるかもしれないが、日本のものはボイコットする。国産品を支持し、日本製品は買わない」と述べた。
中国経済網北京が9日に伝えたところによると、ある日本の専門家は、日本の企業の多くは海外市場を主な利益源としており、中でも中国市場が重要な利益源であると指摘。電子産業など多くの産業は主に中国での売り上げに頼っており、中国が経済制裁を発動して日本を叩けば、日本企業は重大な損失を被ることになると述べた。
▽日系家電の衰退は不可避
実際、日系家電の衰退はここ数年は争えない事実だ。今年3月末現在、ソニー、シャープ、パナソニックはいずれも巨額の損失を記録した。シャープは2012年度第1四半期(4-6月)の損失が941億円に上り、大規模なリストラを検討中だ。ソニーは同期の損失が246億円で、12年度のテレビ販売台数目標を1750万台から1550万台に引き下げた。
陸さんによると、日系製品の販売台数が下降の一途をたどっており、9月はさらに減少する見込みだ。日系製品衰退の主な原因は、イノベーション能力の不足と製品が古びていることにある。たとえばテレビは現在、スマート製品が主流だが、日系メーカーは業界の発展に追いつけていないという。
「山東商報」が先月24日に伝えたところによると、現在の中国市場では、日系家電大手にとって低コストの韓国のサムスンやLG、大陸部や台湾地区のライバルとの競争がますます厳しいものになっている。十数年ほど前には、日本の家電メーカーは世界の トップを走っていたが、技術が拡散し、中国や韓国の企業が台頭して高品質低価格製品で攻勢を挑むようになるにつれて、ついに疲労の色をみせるようになったという。
「人民網日本語版」 2012年9月12日
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