釣魚島「国有化」で中日関係が「政冷経冷」に

 

日本が釣魚島(日本名・尖閣諸島)を購入して「国有化」するという茶番劇が、中日間の経済貿易関係に実質的な影響を与えている。最新のデータによると、今年1-8月の中米間貿易は前年同期比9.6%増加したが、中日間貿易は同1.4%減少した。商務部(商務省) の沈丹陽報道官は19日の定例記者会見で、日本が不法に釣魚島を購入したことは、中日間の経済貿易協力に必ず影響を与え、日本はすべての責任を負わなければならないとの見方を示した。「国際金融報」が伝えた。

また沈報道官は、中日韓自由貿易圏(FTA)の交渉は、日本の釣魚島購入の余波を受けて、中止するかどうかを検討中であることを明らかにした。

中日間には緊張が広がっている。19日午後には釣魚島海域を巡行する中国公務船は14隻に達した。習近平国家副主席(中央軍事委員会副主席)はこのほど訪中した米国国防省のレオン・パネッタ長官の一行に対し、米国が地域の平和・安定という大局を出発点として、言葉や行動を慎重にすることを望むとし、釣魚島の主権争いに介入しないこと、問題を劇化させたり、情況をさらに複雑にしたりする可能性のあることは一切しないよう申し入れた。

在中国日系企業は中国に属する問題

沈報道官によると、中日経済貿易協力は双方の利益に合致するものだ。日本の違法な釣魚島購入は協力に必ず影響を与えることになり、これは中国が望むところではなく、日本がすべての責任を負わなければならないという。

日本政府は経済的損失をだれが負担するかで中国と異なる見方をする。野田佳彦首相は18日に日本のテレビ局TBSの番組に出演した際、中国国内の日本関連の抗議デモが日系企業や日本の大使館・領事館に与えた損害について、中国にある日本企業などの建築物および人員の利益が損なわれた場合は、中国が責任を負うべきであり、これは国際的に規定されたことだとの見方を示した。また中国側に損害賠償請求を行うとした。

野田首相の話の直後の19日、日本のメディアは18日深夜から19日早朝にかけて、福岡市博多区にある中華料理店や中国企業が入ったビルなどで、石を投げられたりガラスを割られたりする事件が相次いだことを伝えた。

野田首相はこの料理店やビルの損害を賠償するだろうか。しないに決まっている。対外経済貿易大学国際経済研究院の桑百川院長によると、外資系企業も中国の合法的な法人であり、当然保護を受けるべきだ。だが、日本のいわゆる賠償請求にはなんの根拠もない。賠償は中国の内政であり、外資系企業が違法行為に侵害されたとしても、日本側の要求に基づいて処理するのではなく、中国の法律に基づいて処理すべきだという。

対日経済制裁を発動?

中日間の「政冷経熱」局面が「政冷経冷」局面へと変わりつつある。現在、日本を訪れる中国人観光客は大幅に減少し、中国市場での日本車の販売台数も大幅に減少している。中国汽車(自動車)工業協会がこのほど明らかにしたところによると、今年8月、日本車の中国市場での売れ行きが芳しくなかったことは、釣魚島問題と関係があるという。国際的な格付け機関のフィッチ・レーティングスも、中日関係の緊張が続けば、日本の自動車メーカーと科学技術製品メーカーの信用格付けを引き下げる可能性があることを明らかにした。

復旦大学経済学院の孫立堅副院長によると、日本は今回、中国の動きを見誤り、島を購入して中国国民を激怒させた。今回は過去の「歴史教科書の改ざん問題」や「靖国神社参拝問題」の時のように、政治は冷え込んだが経済は基本的に影響を受けないというわけにはいかず、国民の間から、下から上へと、経済・貿易にブレーキがかかった。中国国民は、特に若い国民は、日本製品ボイコットの列に加わり、中日間の政冷 経熱局面は政冷経冷局面へと移り変わり、再び温まることは難しくなっている。

桑院長の予測によると、今年は中日両国の関係が正常化して(国交が回復して)40周年にあたり、この40年間に両国の経済貿易はますます密接なものへと発展してきた。中日経済が対立すれば、双方にとって「殺傷力」を発揮するのであり、日本が釣魚島の購入にこだわって、中日情勢がさらに緊張し、問題がさらに劇化すれば、中国が領土保全のため、日本に対して経済制裁を実施するのはやむを得ない選択になるという。

孫副院長も次のように指摘する。経済貿易の冷え込みについていえば、中国の受け入れ能力は日本を明らかに上回る。短期的には日本が受ける打撃が非常に大きい。政府のレベルでいえば、中国政府の調達は今後は日本に開放されることはなく、中国都市部のインフラ建設に必要な重機などを日本から買うことはなくなる。民間レベルでいえば、日本製品ボイコットの波は続くとみられる。中国企業についていえば、日本への注文が減っても、欧米への注文を増やして補うことができる。欧米は今、経済の谷底にあり、中国の需要によって経済を牽引する必要がある。このため中国が受ける打 撃はそれほど大きなものにはならない。中国が受ける影響は、中日合弁企業が中国を撤退するときにもたらされる出稼ぎ農民労働者の失業問題により多く表れるようになる。

アジア経済にも影響

これまで10年間にわたって温められてきた中日韓自由貿易圏が転機を迎えている。商務部の陳徳銘部長は8月30日、3カ国は11月にFTA交渉をスタートすることで合意したと発表したが、9月11日に日本の釣魚島購入問題が発生し、中日間の争いが劇化して、15億人に関わるアジア貿易金融協力の計画に予想外のことが起きる可能性が出てきた。

孫副院長によると、金融危機の後、アジア太平洋地域はグローバル経済の成長の「楽天地」とみなされるようになり、国際通貨基金(IMF)を含む機関は、今後長期間にわたり、アジアがグローバル経済発展のエンジンとなり、中でも中、日、韓が重要な カギを握るとの楽観的な予測をうち出した。だが日本が引き起こした問題が中日間の 経済貿易関係を直接的に損ない、世界経済の復興の歩みをも損なうことになった。

孫副院長は、中国市場でのシェアが縮小すれば、日本の製造業での地位は韓国などに取って代わられる可能性があるとの見方を示す。

 

「人民網日本語版」2012年9月23日

 

 
 

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