日本による釣魚島(日本名・尖閣諸島)の「国有化」という茶番が引き起こした連鎖反応は、中日両国の経済・貿易関係を冷え込ませた。これは両国経済に損失をもたらすと同時に、アジアのサプライチェーン、世界経済にも打撃を与えている。経済参考報が伝えた。
中日両国は世界2位・3位の経済大国で、両国のGDP総額は米国に匹敵する。両国の保有する外貨準備高は計4兆ドル以上に達し、世界の4割以上を占める。また両国の貿易は、世界で重要な位置を占めている。日本貿易振興機構(ジェトロ)が発表したデータによると、中日の2011年の貿易総額は3427億ドルに達し、日米の1949億ドルの2倍弱となった。釣魚島問題がエスカレートするに伴い、同問題の影響は政治から経済までに及んでいる。この流れはアジア全体、ひいては世界経済に影響をもたらすだろう。
米国のサブプライム危機、欧州債務危機により、アジアの欧米市場に過度に依存した、輸出型の成長モデルが持続できなくなり、アジアの地域協力の強化が期待されるようになった。アジア諸国は関税障壁を取り払い、グローバル提携や物流提携等を強化することで、欧米から被る不利な影響を相殺しようとした。
しかし今年5月より、釣魚島問題がエスカレートした。日本の同問題を巡る行為は、自国のみならずアジアの貿易一体化の歩みを遅らせた。日本の電子製品と日本車の売上が減少し、輸出貿易が深刻な打撃を被った。財務省が発表した貿易統計速報によると、8月の日本の貿易赤字は7541億円に達し、7月より2カ月連続の貿易赤字を記録した。主な理由は輸出の減少で、8月の輸出額は5.8%減となった。輸出先を国別に見ていくと、対米輸出額は前年同月比10.3%増となり、10カ月連続の増加となった。対EU輸出額は22.9%減となり、11カ月連続の減少となった。対アジア輸出額は6.7%減となり、3カ月連続の減少となった。このうち対中輸出額は9.9%減となった。
アジアのサプライチェーンは、グローバル経済の中で最も重要な位置を占めている。アジア諸国の多くは既製品を生産するのではなく、生産全体の一部を担当し、各国間に垂直統合の関係が形成されている。
データによると、過去10年間のアジアによる対欧米輸出額が全体に占める比率が大きく低下し、アジア内の貿易額が大きく上昇した。アジアのサプライチェーンの中心は中国に移っていったが、日本はその中で依然として重要な役割を演じている。日本は中国に次ぐ世界2位の半製品供給国で、対中・対韓・対台の半製品貿易で黒字を計上している。日本は中国にとって最重要の半製品供給国で、中国がアジアから輸入する半製品の総額に占める比率が、3分の1を上回っている。中日関係の緊迫が続けば、日本による半製品の供給量がさらに減少する。アジアのサプライチェーンの核心である中国の製造業も、これにより影響を被り、一連の連鎖反応が引き起こされるだろう。
世界経済が金融危機による深刻な影響を乗り切った後、景気回復が遅れる欧米各国と比べ、アジアの新興経済国は2010-2011年に高度成長を実現し、世界経済の成長の主な原動力となった。しかし今年に入ってから、欧州債務危機による影響が表面化し、アジア全体の貿易情勢が悪化に向かった。オランダ経済政策分析局(CPB)が毎月実施する、世界貿易情勢の動向に対する調査によると、今年1-5月の世界貿易額は前年比2.6%増となり、昨年の8.5%の増加率を大きく下回った。世界経済の成長の原動力とされてきたアジアの貿易額はわずか2.6%増に留まり、昨年の12.1%から大幅に低下した。アジアの輸出は、2009年4月ぶりのペースで悪化している。
アジアのサプライチェーンは世界貿易額の増加に多大な影響を与えるため、日本の釣魚島問題を巡る過ちが世界経済に与えるマイナス影響は、時間の経過と共に顕在化するだろう。これはすでに疲弊していた世界経済に対する追い打ちであり、誰も望まぬ結果であることは明らかだ。
「人民網日本語版」 2012年9月25日
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