中国との交流で県経済の活性化を
 

 

――現在、数多くの日本の「地方」は、中国の地方政府との交流や中国企業との連携、中国人観光客の誘致などに力を入れていますが、神奈川県はどのように取り組んでいますか

黒岩祐治知事(以下敬称略) 神奈川は国際性が豊かな県で、多文化共生というあり方の中で培ってきた歴史と文化があります。横浜には世界最大の中華街があり、観光の柱となっていますが、中国との交流は、横浜市民だけでなく、神奈川県民にとっても、身近で手触り感のあるものだと思います。

神奈川県は遼寧省と友好関係をずっと保ってきています。同省の大連市には、「大連・神奈川経済事務所」を設置して、職員を一名派遣しており、中国企業が日本へ、また、日本企業が中国に行くときの窓口となっています。ここを通じて、中国と日本の経済交流を活発化していきたいと考えています。

観光の面でも日本の入口である神奈川には魅力的な観光地がいっぱいあります。東日本大震災の影響により、観光客は一時期激減しましたが、最近になってかなり戻ってきました。中国の方にも是非来てもらいたいですね。

――中国との交流の中で、何が大事だと思いますか

黒岩 中国との交流を活発化するのは、神奈川県の経済の活性化にとっては非常に大事なことだと思います。交流は、双方に利益がある「ウィン・ウィン」でなければなりません。

川崎市は以前、工場がモクモクと煙を吐き出し、空気も川も汚染された「公害の街」と言われてきました。現在の川崎は、公害を克服し、コンビナートの上には抜けるような青空があります。また、技術革新が進み、太陽光やバイオマスの発電施設ができるなど、エネルギーのショーウィンドーのようになっています。

公害を乗り越えた川崎の技術と経験は、きっと中国の環境問題の解決に役立つと思います。このように、成果や果実を共に分かち合う交流が大切でしょう。

――今年は中日国交正常化40周年を迎え、中日関係は新しいスタートの時点を迎えました。神奈川県は今後、中国との交流や連携をどのように深化させていきたいとお考えですか

黒岩 全般的な交流をもっと活発化させたいと思っています。その中で、西洋医学と中医学(漢方など中国の伝統的な医学)の融合をやっていきたいと考えています。

現在の日本、とくに神奈川県では、高齢化の伸びが急速に進んでいます。この状況下で、病気を全部叩き潰すという攻撃的な医療である西洋医学一辺倒では、医療費がどんどんかさんでいくため、日本の医療は破綻すると思います。

そこで、私は東洋医学の思想に注目しています。中医学の理論によれば、食は薬と同じような効果をもち、食のあり方によって、病気を克服することもできるということです。私の父は末期の肝臓ガンでしたが、食のあり方を変え、西洋医学と組み合わせることにより、ガンが消えました。西洋医学と中医学の融合を神奈川県で実現し、さらに日本人の生活に普及させることで、日中融合を推進していきたいと思います。

  

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