「恩送り」の心でつくられる「長崎ちゃんぽん」
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「四海楼」四代目の社長・陳優継さん | 太めの麺、熱々で濃厚なスープ、たっぷりと入ったイカやエビ、器からあふれんばかりのキャベツやモヤシ――これが「長崎ちゃんぽん」だ。
「ちゃんぽん」の発祥の店は、長崎市内の「四海楼」。四代目の社長、陳優継さんの曽祖父の陳平順さんが1892年、中国・福建省から長崎に来て、当地の華僑の支援を受けながら裸一貫でスタートし、7年後には「四海楼」を開業した。その後、生活が苦しい華僑や留学生のひどい食生活を見るに見兼ねて、福建料理をベースに、安くて、ボリュームがあり、栄養たっぷりの「ちゃんぽん」を考案した。
今や「ちゃんぽん」は日本全国に普及し、絶えず改良され、種類も豊かになった。しかし「四海楼」は初代の思いを後世に伝えるため、昔ながらの味を今も提供している。
昨年3月の東日本大震災の3週間後、陳さんら14人は、被災地の人々に温かい「ちゃんぽん」を食べてもらうため、具材や麺をトラックに積み込み、長崎を出発。約27時間かけて、宮城県気仙沼市に行き、避難所で約800食をふるまった。「『ちゃんぽん』を食べた被災者の笑顔が忘れられない。
『ちゃんぽん』には、自分が受けた恩を別の人に送る『恩送り』の精神が込められている。先祖が考案した『ちゃんぽん』は私が受けた恩。これを多くの人に食べてもらい、喜んでもらうのが、私にとっての『恩送り』です」と陳社長は言っている。
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