日本の元外交官「中日紛争は米国の戦略の一部」

 

ある日本の元外交官が米国について、第二次大戦後日本を操り、北京との一層の関係発展を図る首相を「排除」してきたと非難した。香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(電子版)の16日付記事を「新華網」が転載した。

この元外交官は外務省国際情報局長を務めた孫崎享氏。孫崎氏の近著『戦後史の正体』は、日本でたちまちベストセラーの上位にランクインした。同書で孫崎氏は「どんなに強い民衆の抗議が起きようとも、米国が日本の領土から軍事基地を撤退することは永遠にない」と指摘。孫崎氏によると、米国の一部派閥は日本の核兵器保有さえ望んでいるという。

孫崎氏は先日東京で「この本で私は日本の指導者を2種類に分けた。独立した外交政策を追求する指導者と、米国の指示や政策に従うだけの指導者だ」と指摘。さらに「前者は米国政府に歓迎されず、すぐに首相の座から排除されるのが普通だ」と述べた。

孫崎氏は「ワシントンは直接行動することはなく、肝要な政治家、メディア、政府幹部、大企業上層部を通じた目に見えない影響力によってこの目標を達成する」と指摘した。

東京の米国大使館の女性報道官は、孫崎氏の著書における指摘や非難についてコメントを拒否した。

孫崎氏は「日本の政策プロセスをコントロールする目的を達成するため、ワシントンはメディアの報道を通じて干渉し、野党を後押しし、世論を歪め、さらには重要閣僚を『排除』して内閣を瓦解させる」と述べた。

孫崎氏の指摘する、独立した考え方のために妨害された日本の政治家には、首相就任後9カ月足らずの2010年6月に退陣した鳩山由紀夫氏、政治資金スキャンダルと訴訟で名誉を毀損された小沢一郎氏が含まれる。

孫崎氏は「鳩山政権が続いた場合、日本政府が原発再稼働(福島第1原発事故後に停止されていた)の行動を取ることも、消費税引き上げや沖縄への『オスプレイ』配備に同意することもなかっただろう」と指摘。「こうした問題、そして釣魚島をめぐって続く論争やTPPの議論は、いずれもワシントンのグローバルな地政学的利益と密接に関係する」と述べた。

孫崎氏は「米国は前原誠司のような政客の反中国的行動を後押しする。米国にとって有利だからだ」と述べた。

米経済界は中国との協力強化を望むかもしれないが、孫崎氏の言葉を借りれば、米政府は「オフショア・バランシング戦略」を実行している。この戦略の下、中国の隣国(孫崎氏は韓国、フィリピン、ベトナム、日本を挙げた)は、中国およびその拡大し続ける地域への影響力を抑え込む行動を取るよう後押しされる。

孫崎氏は「尖閣諸島(中国の釣魚島およびその付属島嶼のこと)問題はこの戦略の一部だ」と指摘。「今日米国には、日本の核兵器保有を望む人もいる。これはバランシング戦略と関係がある。中国と拮抗するために日本の軍事力を利用するのだ」とも述べた。

孫崎氏は最後に「中国の観点からは、野田佳彦は最もまずい首相で、両国政府間に信頼はあり得ないと考えている。これはその後任は誰であれ歓迎されるということを意味している」と述べた。

 

「人民網日本語版」 2012年10月18日

 

 
 

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