駐在中国人と交流 教習所の小原さん
東京から約200キロも離れた伊那市に中国大使館員や中国人記者の間では有名な日本人がいる。伊那自動車教習所の小原茂幸さんだ。
1990年代に『北京日報』の陳鄂生記者が初めて合宿で免許を取得し、その後、陳さんの紹介で次々と東京の中国人駐在員が訪れるようになり、次第に口コミで小原さんの存在が知られるようになった。
中国人教習生が来ると小原さんはスケジュールの合間を縫って、個人的に居酒屋で酒杯を交わしたり、伊那市のB級グルメ「ローメン」(伊那出身で元長野県日中友好協会副会長伊藤和弌氏が考案)を御馳走したり、地元の駒ケ根市のお寺に行ってお茶を飲みながらゆっくり話したり、時には自宅へ招待している。
その理由を「中国と日本は民間交流がとても大事ですから。そして、マスコミの力は良くも悪くもとても大きいと思っています。だから記者のみなさんには、これからはアジア、特に中国の時代だと言い続けてきました。ただこんなにも急速にやってくるとは思ってもいませんでしたが……」と小原さんは笑顔で話す。
「卒業したあとも、再び伊那を訪れてくれたり、年賀状のやり取りを続けたりしている人も多い」と小原さん。中国人一人一人との交流が大切な思い出になっている。
近年の中国人記者については「若い人たちが増えて、次の時代がやってきたなあ、と感じています。昔の中国と違って、仕事の選択肢が広がった中であえてマスコミを選んだ人たちから、新しい息吹を感じます」と語っている。
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