三、米日が釣魚島をひそかに授受したことは不法かつ無効である
第二次世界大戦後、釣魚島は中国に返還された。しかし、1950年代に米国は釣魚島を勝手にその委任管理の範囲に組み入れ、70年代に釣魚島の「施政権」を日本に「返還」した。米日が釣魚島をひそかに授受したのは中国の領土主権に対する重大な侵犯であり、不法かつ無効であり、これにより釣魚島が中国に属するという事実が変わったことはなく、また、変えることなど許されない。
(一)「第二次世界大戦」後、釣魚島は中国に返還された
1941年12月、中国政府は正式に日本に対して宣戦を布告し、日本との間で締結されたすべての条約を廃棄することを宣言した。1943年12月の『カイロ宣言』は、「日本が窃取した中国の領土、例えば東北四省、台湾、澎湖群島などは中華民国に返還する。その他日本が武力または貪欲によって奪取した土地からも必ず日本を追い出す」と明文で定めている。1945年7月の『ポツダム宣言』第8条では、「『カイロ宣言』の条件は必ず実施されなければならず、日本の主権は必ず本州、北海道、九州、四国およびわれわれが定めたその他の小さな島の範囲内に限るものとする」と定められている。1945年9月2日、日本政府は『日本降伏文書』において、『ポツダム宣言』を受け入れ、かつ『ポツダム宣言』で定めた各項の規定を忠実に履行することを承諾た。1946年1月29日の『盟軍最高司令部訓令(SCAPIN)第677号』では、日本の施政権の範囲が「日本の四つの主要島嶼(北海道、本州、九州、四国)と、対馬諸島、北緯30度以北の琉球諸島を含む約1千の隣接小島嶼」であることが定められている。1945年10月25日、中国戦区台湾省の日本降伏式典が台北で行われ、台湾は中国政府に正式に回復された。1972年9月29日、日本政府は『中日共同声明』において、台湾が中国の不可分の一部であるという中国側の立場を十分に理解し、尊重し、かつ『ポツダム宣言』第8条における立場を堅持することを厳かに承諾した。
以上の事実が示しているように、『カイロ宣言』『ポツダム宣言』『日本降伏文書』に基づき、釣魚島は台湾の付属島嶼として台湾といっしょに中国に返還されるべきものである。
(二)米国は不法に釣魚島を委任管理の範囲に編入した
1951年9月8日、米国は一部の国と共に、中国を排除した状況で日本と『サンフランシスコ講和条約』を締結し、北緯29度以南の南西諸島などを国連の委任管理下に置き、米国を唯一の施政者とする取り決めを行った。指摘しなければならないのは、同講和条約で規定された米国が委任管理する南西諸島には、釣魚島は含まれていなかったことである。 1952年2月29日、1953年12月25日、琉球列島米国民政府は前後して第68号令(『琉球政府章典』)と第27号令(「琉球列島の地理的境界」に関する布告)を公布し、勝手に委任管理の範囲を拡大し、中国領の釣魚島をその管轄下に組み込んだ。これにはいかなる法律的な根拠もなく、中国はこの行為に断固反対するものである。
(三)米日は釣魚島の「施政権」をひそかに授受した
1971年6月17日、米国は日本と『琉球諸島および大東諸島に関する協定』(略して「沖縄返還協定」という)に調印し、琉球諸島と釣魚島の「施政権」を日本に「返還」することとした。これに対して、中国本土および海外の中国人は一斉に非難の声をあげた。同年12月30日、中国外交部は厳正な声明を発表し、「米日両国政府が沖縄『返還』協定で、中国の釣魚島などの島嶼を『返還地域』に組み入れたことは、まったく不法なことであり、これは中華人民共和国の釣魚島などの島嶼に対する領土主権をいささかも改変し得るものではない」と指摘した。台湾当局もこれに対して断固たる反対の意を示した。
中国政府と人民の強烈な反対に対して、米国は公けに釣魚島の主権帰属問題における立場を明らかにせざるを得なかった。1971年10月、米国政府は「元日本から得たこれらの諸島の施政権を日本に返還することは、主権に関わる主張をいささかも損うものではない。米国は日本がこれらの諸島の施政権をわれわれに委譲する前に持っていた法的権利を増やしてやることも、施政権を日本に返還することによってその他の主張者の権利を損なうこともできない。…これらの諸島に関わるいかなる対立的要求も、すべて当事者が互いに解決すべき事柄である」と言明した。同年11月、米国上院での「沖縄返還協定」採択時に、米国務省は声明を発表し、米国は同諸島の施政権を日本に返還するものの、中日双方の同諸島をめぐる相反する領土権の主張において、米国は中立的な立場をとり、紛争のいかなる側に対しても肩を持つことはしないと表明した。
四、 釣魚島の主権に対する日本の主張にはまったく根拠がない
1972年3月8日、日本外務省は『尖閣諸島の領有権についての基本見解』を発表し、釣魚島の主権帰属について日本政府の主張を次のように述べた。一、釣魚島は「無主地」であり、『馬関条約』に基づき日本が清国より割譲を受けた澎湖諸島と台湾およびその付属島嶼には含まれていない。二、釣魚島は、『サンフランシスコ講和条約』第2条に基づき日本が放棄した領土のうちには含まれず、同条約第3条に基づき南西諸島の一部として米国の施政下に置かれ、かつ「沖縄返還協定」により日本に施政権が「返還」された地域の中に含まれている。三、中国は釣魚島を台湾の一部と考えず、『サンフランシスコ講和条約』第3条に基づき米国の施政下に置かれた地域に釣魚島が含まれている事実に対し、従来何ら異議を唱えてこなかった。
日本の上述の主張は事実に著しく背いており、まったく成り立たない。
釣魚島は中国に属し、決して「無主地」ではない。日本人が釣魚島を「発見」する前に、中国は釣魚島に対してすでに数百年にわたる有効な管轄を実施しており、釣魚島の争う余地のない主人である。前述したように、釣魚島が早くからすでに中国に帰属し、国際法における無主地ではないことを日本がはっきり了解していたことは、日本の多くの政府文書で証明されている。日本がいわゆる「先占」原則によって釣魚島を「無主地」としてその版図に「編入」したことは、中国の領土を占拠した不法行為であり、国際法上効力を有さない。
地理的に見ても、中国の歴史的な管轄実践から見ても、釣魚島はずっと中国の台湾島の付属島嶼であった。日本は不平等な『馬関条約』を通じて、釣魚島を含む「台湾全島およびすべての付属島嶼」を割譲するよう清朝に迫った。『カイロ宣言』『ポツダム宣言』などの国際法律文書は、日本が窃取した中国の領土を無条件に返還すべきであるとしている。上述の文書はまた日本の領土範囲をはっきり画定し、その中に釣魚島はまったく含まれていない。日本が釣魚島を占有しようとすることは、実質上『カイロ宣言』『ポツダム宣言』などの法律文書によって確立された戦後秩序に対する挑戦であり、日本が負うべき国際法の義務に甚だしく背くものである。
米国などの国が日本と調印した一方的な講和条約である『サンフランシスコ講和条約』に規定された委任管理の範囲には釣魚島が含まれていない。米国が勝手に委任管理の範囲を拡大し、中国領である釣魚島を不法にその管轄下に編入し、その後、釣魚島の「施政権」を日本に「返還」したことは、いずれも何ら法的根拠がなく、国際法上いかなる効力も有さない。米日の上述の不法な行為に対して、中国政府と人民は一貫して明確に反対している。
五、中国は釣魚島の主権を守るために断固として闘う
長期にわたり、中国は釣魚島の主権を守るために、断固として闘ってきた。
中国は外交ルートを通じ、米日が釣魚島をひそかに授受したことに対して強く抗議し、非難した。1951年8月15日、サンフランシスコ講和会議が開催される前に、中国政府は「対日講和条約の準備、起草および調印に中華人民共和国の参加がなければ、その内容と結果のいかんにかかわらず、中央人民政府はこれをすべて不法であり、それゆえ無効であるとみなす」という声明を発表した。1951年9月18日、中国政府はふたたび声明を出し、「サンフランシスコ講和条約」が不法かつ無効であり、断じて承認できないと強調した。1971年、米日両国の国会が前後して「沖縄返還協定」を採択した行為に対して、中国外交部は、釣魚島などの島嶼は、昔から中国領土の不可分の一部であるとの厳正な声明を発表した。
中国釣魚島の主権を侵犯する日本の不法行為に対して、中国政府は積極的で力強い措置をとり、外交声明の発表、日本への厳正な交渉申し入れ、反対口上書を国連に提出する、などの措置を通じて抗議を表明し、中国の一貫した主張と原則・立場を宣言し、中国の領土主権と海洋権益を断固として防衛し、中国公民の人身・財産の安全をしっかり守ってきた。
中国は国内立法により釣魚島は中国に属することを明確に定めている。1958年、中国政府は領海に関する声明を発表し、台湾およびその周辺諸島は中国に属すると宣言した。1970年代以来、日本が釣魚島に対して行ったさまざまな主権侵犯行為に対して、中国は1992年に『中華人民共和国領海および隣接区法』を公布した際に、「台湾および釣魚島を含むその付属諸島」は中国の領土に属すると明確に定めた。2009年に公布された『中華人民共和国海島保護法』は海島の保護・開発と管理制度を確立し、海島の名称の確定と公布に関して規定を設けた。それに基づき、中国は2012年3月に釣魚島およびその一部の付属島嶼の標準名称を公布した。2012年9月10日、中国政府は声明を発表して、釣魚島およびその付属島嶼の領海基線を公布した。9月13日、中国政府は釣魚島およびその付属島嶼の領海基点・基線座標表と海図を国連事務総長に提出した。
中国は終始釣魚島海域で恒常的な存在を保ち、管轄権を行使している。中国海洋監視船は釣魚島海域でのパトロールと法執行を堅持しており、漁業監視船は釣魚島海域で常態化したパトロールと漁業保護を行っており、その海域における正常な漁業生産の秩序を守っている。中国はまた天気予報や海洋観測予報などの発表を通じて、釣魚島および周辺海域に対しての管轄権を行使している。
これまでずっと、釣魚島の問題は香港・澳門(マカオ)同胞、台湾同胞、そして海外同胞の関心をも集めてきた。釣魚島は古来中国固有の領土であり、これはすべての中国人の共通の立場である。中華民族は国の主権と領土の保全を守る上で確固とした決意を持っている。民族の大義を前にして、両岸の同胞は民族の利益と尊厳をともに守ることで一致している。香港・澳門(マカオ)・台湾の同胞と国内外の華僑・華人は、さまざまな活動を次々に展開し、釣魚島の領土主権を守り、中国人の正義の立場を強く表明し、平和を愛し、国の主権を守り、領土の保全を防衛しようとする中華民族の決意と意志を世界中にアピールした。
結びの言葉
釣魚島は、古来中国固有の領土であり、中国は釣魚島に対して争う余地のない主権を有している。1970年代、中日両国が国交正常化と『中日平和友好条約』を締結する際、両国の先代の指導者たちは両国関係の大局に目を向け、「釣魚島の問題を棚上げし、将来の解決にゆだねる」ことについて諒解と共通認識に達した。しかし、近年来、日本は釣魚島に対してたえず一方的な行動をとり、特に釣魚島に対していわゆる「国有化」を実施したことは、中国の主権に対する重大な侵犯であり、中日両国の先代の指導者が達成した諒解と共通認識に背くものである。これは中日関係を損なうのみならず、世界反ファシズム戦争の勝利の成果に対する否定と挑戦でもある。
中国は日本が歴史と国際法を尊重し、中国の領土主権を侵害するあらゆる行為をただちにやめるよう強く要求する。中国政府は、国の領土主権を防衛する決意と意志を固めており、国の主権を防衛し、領土保全を守る自信と能力を有している。
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