経済発展と環境保護の両立
南昌市中心部から東へ約3キロ行ったところにある艾渓湖風景区に、南昌国家ハイテク産業開発区(以下南昌ハイテクパークと略)がある。普通、工業区域といえば汚染は避けられないものと思うだろう。しかし、ここの工場に入っても排気ガスのにおいもしないし、騒音も聞こえない。ましてや高い煙突や黒煙はまったく見られない。その代わりに見渡す限りの緑と新鮮な空気がある。これらはすべて艾渓湖湿地公園のおかげだ。
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美しい艾渓湖湿地公園(写真提供・南昌ハイテクパーク) |
艾渓湖湿地公園に入ると、すぐさま眼の前の景色にうっとりする。澄んだ水面にはハスの花が点在し、舗装したてのアスファルト道路の両側には、並木がずらりと並んでいる。時に小鳥が頭の上を飛んでゆく。草が豊富に生い茂る小島と幾つも連なる芝生の丘は、新郎新婦がウェディングフォトを撮る絶好の地となっている。目の前のこうした風景は、南昌市党委員会常務委員の曾光輝宣伝部長の功績を無視することはできない。当時、南昌ハイテクパーク管理委員会の主任であった曾さんは、幾度か外国を考察した際、「外国、とりわけヨーロッパの環境は、私にとってとても大きなショックでした。最もよい環境と最もよい生存空間を後世に残しておきたい」と、私も考えるようになりました。その時、艾渓湖の西岸はすでに商業用地として開発されていたが、東岸は依然として雑草が群生し、ゴミの山が放置され、悪臭が漂っていた。そこには醤油工場、れんが工場とぼろぼろのアヒル小屋、魚の養殖池があり、汚水が至るところから流れ出ていて、ハエがあちこちを飛び回っていた。
「当時、ここにはすでに1500ムーの商業・住宅用地の開発計画がありました。湿地のさらなる破壊を防止するために、私はみんなを率いて一生懸命に植林しました。また毎年、市の指導者にもこれに参加してもらいました」
曾さんのがんばりと努力によって、商業・住宅用地の計画は白紙に戻された。2007年9月、艾渓湖湿地公園の建設が開始された。2500ムーの湿地と艾渓湖4.6平方キロの水面という現地の状況を考えた上で、森林湿地公園を建設することとなったのである。従来の丘と湖を保留し、さまざまな樹木と草花で心を込めて飾った。湖岸の生態環境を保護するために、南昌市は、湖の岸から最低300メートル離れたところに建物を建てることと規定した。しかし、実際には緑化帯は最も幅が広いところで1キロ、狭いところは500から600メートルだ。
「われわれは水と緑を市民に返そうとしたのです。つまり、人間は金山・銀山を必要としていますが、青い山ときれいな水も必要としているのです」と曾さん。現在、入園無料の艾渓湖湿地公園は毎年大量の観光客を引き付け、さらに現地市民のレジャーと娯楽に最適の地となっている。
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国家クラスのエコ工業パークである南昌ハイテクパークには各種企業が2500社近く集まっている(写真提供・南昌ハイテクパーク) | ここ数年、南昌ハイテクパークは終始「グリーン、低炭素」という理念を企業や投資の誘致、パーク建設に取り入れ、国内一流の低炭素エコパーク、産業発展地区、テクノポリスの構築に全力をあげている。
南昌ハイテクパークと関わりのある人はみんな知っているように、ここに進出するには、環境への影響がなく、汚染がない投資プロジェクトであるという必須条件がある。調査によると、毎年、環境保護というこの条件によって、南昌ハイテクパークは数十社の企業、数十億元の投資をやむを得ず拒否しているという。しかし、この必須条件があるからこそ、今日の南昌ハイテクパークでは、煙突一本も見られず、ボイラーが1台もなく、艾渓湖風景区に位置するハイテクパークであり続け、ますます多くの企業を引き付けているのだ。現在、南昌ハイテクパークには各種企業2500社ほどがおり、その中には米国のマイクロソフトやスイスのABB、米国のコーラー(Kohler)社なども含まれる。
これらの低炭素、環境保護の発展理念と具体的な措置があったからこそ、2009年、南昌ハイテクパークは科学技術部、環境保護部などによって国家級エコ工業モデルパークの建設が許可され、2010年にはまた、全国でもまだ三つしかない「低炭素中国傑出貢献園区」の一つに選出され、全国緑化先進単位の称号を獲得したのである。
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